内容説明
ミステリの女王アガサ・クリスティーには、もう一つ、考古学者の妻としての顔があった。14歳年下の考古学者マックス・マローワンと結婚していらい、ほぼ毎年のように彼に従って発掘旅行に出かけていたのである。本書は、そうした発掘現場での暮らしぶりについて語ったもので、愛すべき旅行記であると同時に、実り多かった夫妻の結婚生活をも垣間見せてくれる。アガサ・クリスティーの愛情あふれる旅行記。
目次
第1章 シリアをさしていざ行かん
第2章 予備調査の旅
第3章 ハーブル河とジャフジャーハ河
第4章 チャガール・バザールでの最初のシーズン
第5章 シーズンの終わり
第6章 旅の終わり
第7章 チャガール・バザールでの生活
第8章 チャガールとブラーク
第9章 マックの到着
第10章 ラッカへの道
第11章 ブラークよさらば
第12章 エイン・エル・アルース
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅人(𝒕𝒂𝒃𝒊𝒕𝒐)
11
アガサの飾らない人柄丸出しの、自虐たっぷりのユーモアエッセイの部分と現地の人々の文化の違いによる数々のトラブルや発掘旅行の記録に、異世界へと旅する楽しい時間を味わえた。1930年に考古学者のマックス・マローワン氏と再婚をしたクリスティーは、戦時中を除き30年間もの間、夫の発掘隊に同行し、並行して作家活動も続けており、まさにスーパーウーマンです。風景描写などほぼ書いていないと前書きにあるが、語られなくても、どれほどにその景色を目に焼き付けて美しさに感動してこられたのかは伝わるものだ。2022/12/04
アカツキ
9
クリスティーは1928年に14歳年下の考古学者マックス・マローワンと結婚。シリアでの発掘調査について行った時のことを書いた旅行記。ユーモアをたっぷり含ませた文章が楽しく、文化の違いからくる苦労やトラブルを可笑しみ懐かしんで書かれている。が、命の軽さがすごい。それだけ暴力や死が身近ということなのかな。借りた家で大量のネズミと虫が出てきた話にゾゾゾ。私も顔の上を横切られたらヒステリー起こすわ。2024/12/27
アヴォカド
6
「(略)騾馬を追っててくてくと歩いてゆく白いあごひげの老人たちは、よそで戦争がつづいていることなど、知りもしないだろうと思えるからである。『そいつはこのあたりには及んでこなんだからの…』」とここに記された地が、今現在は混迷の中にあるかと思うと、なんともやりきれないが、クリスティーにとっては幸せな記憶の場所であったようだ。不便だったりイライラしたりしながらも、ユーモラスで快活な部分も多い。2017/05/03
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
0
☆×4.0…非ミステリーもの、ノンフィクション作品です。二番目の夫との発掘旅行記です。行く場所で人員を雇うためにもちろんトラブルはつき物です。中には女性関係でちょっとトラブルを起こしたものも…それと一部地理用語が翻訳の都合上ん?と思うものになっています。正しく言えばそれは「ワジ」涸れ川です。そこだけは注意なのであります。発掘の詳細は仔細には語られてはいないものの、給料が発掘されたもの相応のものだったのはうかがい知ることができます。2010/11/17
こってぃー
0
すごーくおもしろかった。不便な土地に行って食べるものも着る物も善悪も死生観も違う人と仕事して、でも心からその土地を愛してるっていうのが伝わるから楽しいんだろうな。エピソードもクリスティーがおもしろがってるのが伝わってくるし全部コミカルに描かれている。それに少し日記帳みたいで臨場感もある。よい旅行記。2021/03/23
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