出版社内容情報
数々の怪事件、異様な後味。ブラックユーモアとツイストたっぷりの短篇集が文庫で登場
ロード・ダンセイニ[ダンセイニ ロード]
小林 晋[コバヤシ ススム]
内容説明
調味料のセールスをしているスメザーズが同居することになったリンリーという青年は、きわめて明晰な頭脳の持ち主だった。警察に依頼されて怪事件の調査をはじめたリンリーは、スメザーズの手を借りながら、数々の事件の真相を明らかにしていくのだった。エラリイ・クイーンと江戸川乱歩が絶賛した表題作をはじめ、探偵リンリーが活躍するシリーズ短篇9篇を含む全26篇を収録。忘れがたい印象を残す傑作ミステリ短篇集!
著者等紹介
ダンセイニ,ロード[ダンセイニ,ロード] [Dunsany,Lord]
1878年生まれ。本名エドワード・ジョン・モアトン・ドラックス・プランケット。アイルランドの男爵家に生まれ、『ペガーナの神々』(ハヤカワ文庫)をはじめとするファンタジー作品で知られる。1957年没
小林晋[コバヤシススム]
1957年生、東京大学卒、東京大学大学院修了、埼玉工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
106
26篇の短編を収録。のっけから「私のような小男が」と言ってしまうスメザース氏のとても慇懃な語り口が癖になる。鷹揚な紳士リンリーの名探偵ぶりをこれでもかと持ち上げるスメザース。エグい犯罪も現実感が薄くて、どこか長閑だ。トリックは忘れてしまっても「ナムヌモ」という調味料の名前は忘れられそうにない。『アテーナーの楯』だけはファンタジー。名だたる作家たちに影響を与えたという著者の幻想小説も読んでみたい。2017/01/12
Kircheis
92
★★★☆☆ 幻想小説の大家、ロード・ダンセイニ唯一のミステリ系短編集。 表題作の『二壜の調味料』が圧倒的に有名で、読後感のずっしり感もさすがなのだが、他の作品はどれも並で、オチも早々に読めてしまうものがほとんど。 表題作以外では、表題作と雰囲気の被る『疑惑の殺人』や、『スタンド・バイ・ミー』風のノスタルジーが味わえる『ラウンド・ポンドの海賊』等がお気に入り。2019/06/16
HANA
76
ファンタジーの巨匠によるミステリ短編集。乱歩曰く「奇妙な味」の小説、その代表的作品である表題作。特にその最後の一行を読むためだけにでも、この本を買う価値がある。こういう何が起きたか明らかなのにそれがはっきりとは明示されずしかもそれがとても恐ろしく奇妙なおかしみを漂わせている、という作品は実に好み。残りはミステリ黎明期の作品らしく現在の眼から見ると穴のある作品も多いのだが、それでも著者らしいどことなくファンタジーの香りがあちこちから漂ってきてこれまた良い。どことなく浮世離れした英国っぽさを楽しむ事が出来た。2017/02/22
keroppi
75
「奇妙な味読書会」で「奇妙な味」の作品を知り、読書会終了後も読んでいる。26篇の短編が収められているが、調味料セールスのスメザースと同居人リンリーのシリーズが特に面白い。トリック自体、今読むと目新しく感じないが、味のある作品たちだ。まさに「奇妙な味」の表題作「二壜の調味料」。「奇妙な味」の作品を生んだ調味料ナムヌモは、肉専用の調味料みたいだが、一体どんな味なんだろう。やはり、「奇妙な味」なんだろうか。2019/05/14
読書家さん#lfJKjP
41
今まで読んだ事の無い書き出しで興味津々な読書体験となりました。短編であり繋がってる所も好きです。スメザーズ、表題作二壜の調味料と疑惑の殺人、新しい名人 手がかり等が気に入りました。最後の数行でサラッと解決。あまり時間を要しない読書で短編なのにしっかりと物語が完成してる。言うまでもなく傑作でした。2024/03/27