内容説明
愛妻を殺され、傷心のボンドをMは日本へ送りこんだ。万能暗号解読機を入手するため、そして使い物にならず、解雇寸前のボンドに最後のチャンスを与えるためでもあった。彼を迎えたのはタイガー田中と名乗る男だった。男は解読機を渡す代わりに、福岡で毒草を栽培する危険な植物学者の殺害を命じる。ボンドは条件を呑んだ。だが、その学者の写真を見た彼は…!ボンドの眼を借りた日本観が横溢する注目作。改訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
186
ここに描かれる日本はどこか遠くの国の様だ。日本大誤解小説と言って良い。ボンドが日本にやって来た。当時のスパイ小説で主人公は大抵日本赤軍と戦うのだが。本作は謎の西洋人。ところでこの西洋人の正体がアレなのだが。本作で敵のやることはセコい上に動機も良く判らない。不気味なことは確かなのだが、大して悪いことはしてない。日本の描写はモンド映画のようで異国情緒ばかり際立たせる。妻を殺され抜け殻のようになったボンドが復活を果たし、二度の人生というタイトルなのか?記憶障害を入れれば彼は3度死ぬのだろうか。2022/01/20
花乃雪音
30
小説を書く前の下調べが不十分なためか虚実入り混じる日本が舞台で妻の仇ブロフェルドとの決着が描かれている。妻を殺された喪失からの復活、宿敵との戦い、本来盛り上がる条件が揃っているのにリハビリに大半を費やした印象を受ける。小説には映画のようなアクションが向かないためブロフェルドとの結末があっけないのが残念。2021/05/06
tsu55
22
いやはや、なんなんだ、この珍妙な日本観は。1964年発表の作品だそうだが、当時の海外から見た日本はこんなもんだったのだろうか。苦笑しながらの読書でありました。【ガーディアン1000】2023/12/10
再び読書
22
タイガー田中との共闘で宿敵ブロフェルドに迫る。オリエンタル文化をフレミングが調理し、不思議なスパイスが効き、面白い雰囲気を醸し出している。最後はボンドも自分を取り戻し、いつものテイストになる。2015/06/17
せ〜ちゃん
17
★★★ ガーディアン必読小説1000。 007シリーズ長編小説では11作目。(短編除く)2020/12/15