内容説明
神をめぐり人間の限界を徹底的に思考することで、過酷な現実をサバイブできる。対ロシア外交の最前線で「神学の思考」を武器に活躍した佐藤優が、欧米文明の根底を流れるキリスト教の内在論理を徹底解説。神学的思考の基礎体力をつける全五二問の課題付き。
目次
プロレゴメナ(なぜいま、キリスト教を学ぶのか;キリスト教神学の方法論)
神論(神についてどのように語るか;自由でダイナミックな、生成する神)
創造論(神が造った世界に、なぜ悪があるのか;神が去った世界に、人間は造られた;なぜ神の創造した世界に終わりがくるのか)
人間論(人間とは何か;なぜ「男と女」がいるのか;なぜ「結婚」し、「結婚」しないのか)
キリスト論(「イエス・キリスト」とは誰か;真の神の子であり真の人間であるイエス・キリスト;イエス・キリストは本当にいたのか;二一世紀にキリスト教神学は何ができるのか)
著者等紹介
佐藤優[サトウマサル]
作家・元外務省主任分析官。1960年生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、09年最高裁で有罪が確定し失職。05年に発表した『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。著書に『自壊する帝国』(第38回大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
46
キリスト教の知識の有無で理解度が異なる神学書だと思いました。2022/01/20
非日常口
35
著者はプレモダンとモダンの思考から現在のポストモダン的現象を思考する。そのためポストモダンの抜け落ちができるため私自身はドゥルーズは別の人から教わり補っている。そこで、エチカやD/Gの話を聞いていると、要所で本書の神学的用語が思い出されるので、改めてその点を本書で流して確認。コペルニクス革命の影響が大きい時代はエチカが書かれた時代でもあり、何かしらの切り口があるのではないか。近代のフィルターではない思考の鋳型を持ち、現代の諸問題を思考することが求められる現代、前近代的思考と近代的思考の関連を追える一冊。2016/02/12
非日常口
27
日本人は無宗教だろうか。資本が様々な宗教行事を換金することを覚え、お祭り騒ぎにするが、実際我々は様々なところで宗教に携わる。様々な宗教が入り交じっているから分からないだけではないだろうか。そもそも他の宗教に真剣に向き合ったことがないために、コントラストが見えないのがその原因ではないだろうか。本書は素人目にもキリスト教について基本的なことから説明の難しいことでも省く事なく平易な言葉で書かれていると感じる。ヒューマニズムはなぜ駄目なのか。神の収縮、復活とは。悪とは。意志即行為。神学と論理を修めるための好著。2015/01/25
非日常口
15
朝カルや新潮社講座で熟読。キリスト教徒でなくとも神学をやる意義は大きい。神学的思考を身につけることで宗教で動く他者の内在的論理を理解する一助になるし、形而上的な感覚を持つこともできる。論理を詰めていくことでその閉じた世界のキワを認識でき、またその外部との付き合い方も考えられるようになる。悪魔が悪の具現化でなくなり、様々なもののリアリティが薄まり、心に神がいるようになった現代、それらをどう捉え、考え直すか示唆に富む。言葉は平易だが内容は濃いので、一ヶ月を覚悟して丹念に読むくらいが丁度いいかもしれない。2015/03/14
中年サラリーマン
15
重要なのはあちらからこちらへの一方通行である、ということ。こちら側から向こう側を理解し尽くすことはできない、不可能なのだ。ただし、可能にするための永遠の努力をこちら側から行っていく必要はある、と。現代のシステムは「こちら側」しか想定されていない。しかし、こちら側のシステム内だけでごちゃごちゃやっててもいずれは混沌とするだけなのだ。「あちら側」が必要である、という主張。後、内容とは全然関係ないかもしれないけど、数学という学問がなぜ無限という概念を取り扱うようになってきたのかがなんとなくわかった。2015/02/28
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