ハヤカワepi文庫<br> わたしの名は赤〈下〉 (新訳版)

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ハヤカワepi文庫
わたしの名は赤〈下〉 (新訳版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 444p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151200670
  • NDC分類 929.573
  • Cコード C0197

内容説明

細密画師の惨殺事件につづき、第二の殺人が起きる。いまだ捕えられていない犯人の動機は、すべてあの装飾写本にあるのだと囁かれる。皇帝の命令により、カラは犯人を探すことになった。だが、一連の事件は、恋仲となった従妹シェキュレとの新生活にも暗い影を落とす―個性豊かな語り手たちの言葉から立ち上る、豊穣な細密画の宇宙。東西の文化の相克と融和を描き出し、世界が激賞した第一級のエンターテインメント大作。

著者等紹介

パムク,オルハン[パムク,オルハン][Pamuk,Orhan]
1952年、イスタンブル生まれ。イスタンブル理工大学で建築を学んだ後、イスタンブル大学でジャーナリズムの学位を修得。その後、コロンビア大学客員研究員としてアメリカに滞在した。1982年発表のデビュー作『ジェヴデット氏と息子たち』(未訳)がトルコで最も権威のあるオルハン・ケマル小説賞を受賞。その後に発表した作品もトルコ、ヨーロッパの主要文学賞に輝き、世界的な名声を確立する。1998年発表の『わたしの名は赤』は世界の有力紙誌で激賞され、国際IMPACダブリン文学賞を受賞

宮下遼[ミヤシタリョウ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobi

107
冒頭に引用されたコーランの三つの節。その凝縮された言葉から解き放たれたかのように栄光と凋落、絢爛と退廃、恋慕と怨恨が織り混ざった物語が展開する。上下巻計850頁超。色彩豊かな細密画の付された写本を紐解くような時間。人間とは限らない多くの語り手から多面的な視点が与えられ、死にゆく意識が語られ、恋心は揺れ動き、シェキュレ(なんて神秘的な響き)は自ら物語の登場人物と意識し、ミステリーの如き絵解きがあり…。圧倒的な力で立ちはだかる西欧にイスラムの過去の栄光の表層に頼るではなく深層の“赤“で凛々しく立ち向かってる。2019/03/02

ゆいまある

98
下巻になり、いよいよ事件が解決し、恋人たちは結ばれるのかと思いきや、棟梁が芸術の世界にトリップ。しかもその後は幼い頃から厳しい世界で身を寄せ合ってきた絵師たちの同性愛的展開が続き、犯人探しは?ああ、薔薇の名前と並び称されるのはこの為かと納得。私にはこの辺りは冗長に感じた。見たことない食べ物に興味津々なので、カラーで解説付きの写真集が欲しい。あと、イスラム細密画における馬のナニにおける考察も(笑)。重厚な物語でした。訳がいいね。この美しい訳でなかったら読みきれなかったと思う。2019/05/19

どんぐり

91
皇帝の宝物庫で「わたしの名はカラ」がオスマン棟梁と奇妙な鼻の馬の絵を探索する下巻。西欧の模倣に堕した皇帝陛下の書物を作らせまいとして、〈優美〉と〈おじ上〉を殺した犯人が、最後の最後で明かされる。だが、〈蝶〉〈オリーヴ〉〈コウノトリ〉の誰であっても違いがわからない。細密画師が絵を描くことで神に出会いたいという望みと、遠近法を用いて心の赴くままに個性を絵筆に振るうことが相容れないものなのか、細密画師としての規範や技を理解できぬまま読み終える。イスラム世界で絵を描くという行為と宗教、古典の知識があったら、もっと2020/07/03

(C17H26O4)

86
下巻。語りは続く。複数の語り手から紡がれた言葉によって細部が重なり、ピースが少しずつ嵌め込まれ、加速度をつけ全体が浮かび上がってくる。没頭して読んだ。東洋と西欧の狭間イスタンブルに咲き誇った細密画という赤いバラ。ペルシアからもたらされた古の様式と西欧からもたらされた新たな様式をめぐる、細密画師らの葛藤と確執。それが招いた二つの惨殺事件。または一人の女の愛の行方。そして驚きの最後。絵師らが絵に描くことのできなかった「この物語」の語り手の正体が明かされたとき、心がどよめき、ああともおおともつかない声が漏れた。2022/07/25

巨峰

81
めちゃ端的にいうと、好きな女性にフェラチオをしてもらうまでの話です。もう少し高踏的なものまで含めると、イスラム的価値観と西洋的価値観の倒錯に悩む細密画絵師たちの姿が興味深いし、工房における師弟の懲罰を含むBL的姦系だったり、数多語られるイスラムの国々、王たち、絵師たちの物語も面白いです。ただ、4人の男性(行方不明の夫、夫の弟、父、カラ)の間でこころが揺れ動くシュキュレはいくら美人でもそんなに好きになれませんでした。2018/09/11

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