標準透析療法

標準透析療法

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  • サイズ B5判/ページ数 254p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498024137
  • NDC分類 494.93
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 血液透析とその適応,腎機能喪失によりみられる症状・基本原理・設備・ブラッドアクセス・体制と準備・計画・実施と管理・治療効果・長期管理の問題点と対策・生活管理と指導・急性透析・最近の治療法・小児の腎不全と透析・付録として透析手順・ダイアライザーの性能比較表・各種薬剤の性質と使い方,以上の内容を“目で見る人工透析”ともいえる構成で解説したものである. 6版の序  本書が初めて出版された1981年には約3万名であったわが国の透析患者が平成5年12月末でその4倍以上の13万4298名となっている.CAPDやCCPD療法も広く普及し,安全かつ有用な治療法として定着し,透析療法における重要な一部門となって,現在6919名の患者がこの治療を行っている.  このような透析患者数の増加と共に,透析療法についての研究の進歩はめざましい.とくに1985年に「人工透析研究会」から「日本透析療法学会」に,さらに昨年11月には「社団法人日本透析医学会」と改称して,いよいよ高度かつ広範囲の研究が行われている.また,透析技術の進歩についても同様で,透析装置,透析膜,抗凝固剤,エリスロポエチンや,血液浄化法としての各種の血液(血漿)吸着法,HF,HDFなどの多くの開発・工夫により優れた臨床成績が得られており,患者のquality of lifeは著しく向上している.  しかしながら,透析導入患者は次第に高齢となっており,長期透析患者も増加して,各種の合併症に悩んでいるものの少なくないことも事実である.そして解決すべき諸問題,例えば透析アミロイドーシスなど多くの合併症の治療法の確立が残されている.これらは今後の研究によりさらに解明され,対策が講じられて,一層の成果が期待されるとろであろう.  本書が写真や図表を中心にわかりやすい透析療法の指導書として世に出てからすでに13年が過ぎた.また,改訂5版を出してから3年余りが過ぎたが,本書を開いてみると,その内容に追加,あるいは改めるべき箇所の少なくないことに気づく.目で見るわかりやすい透析療法の書として,いつまでも広く役立つものであるためには,常にup-to-dateの内容でなければならない.  そのようなわけで,今回,新知見に基づいてかなりの追加,訂正を加え,新たに世に出すことにした.とくに,CAPD,HF,HDF血液(血漿)吸着法,血漿交換法などの項はほとんど書き改めた.これらのことにより本書が一層「最新」でしかも「標準」的な透析療法の指導書でありたいと念じている.本書が,透析療法に従事しておられる医師,看護婦,臨床工学技士,その他コメディカルの方々,あるいはこれから従事されようとしている方々にとって,座右の書として日夜お役に立つことができればと願っている. 1994年9月 飯田喜俊 白井大 序  透析療法の進歩にはめざましいものがある.これによって既に3万人以上の腎不全患者が救われ,その大多数の人が社会に復帰している.この現象は10年前にはとても考えられなかったことで,ひとえに透析技術の進歩・透析機器の改良と普及・社会医療制度の充実などによるものと思われる.実際,人工透析の設備を有する施設は国内で既に1,300を越え,多くのスタッフが日夜診療に従事して透析療法の向上に寄与している.  しかしながら,透析療法自体は依然として,気を許すことなく細心の注意をもって行われるべきもので,現在の自分に満足することなく,常に初心を忘れずに研究心をもって当るべきである.単に手技を覚えるだけでなく,何故このようにするのか,それによってどのような結果が生じるのか,そのしくみは何か,などを知ることは重要で,これは治療成績の向上のために必須であると考えられる.  そのために,わが国でも既に幾つかの優れた参考書が出版されてきており,それぞれ特徴があり,斯界に大きな貢献をしている.しかし,透析療法の初歩的な手ほどきからわかり易く説き進めているものは少く,新しく始めようとする人にとって,とまどうことが少くないということもしばしば聞かされる.  本書は以上の理由から,「写真と図表を通し,目でみながら親切に教えてくれる先輩」となり得るように,必要な手技とその意義・注意すべき点などを具体的にくわしく解説した.例えば,標準的な手技にもとづき,透析手順について詳細に記したことなどその1例である.さらに,日常の業務に必須な知識や最近の知見についても出来るだけとり上げ,これだけ知っていれば一通りのことは充分にこなせるように記したつもりである.  本書が,透析療法を始めて間がないか,或いはこれから始めようとする方々にとって親切な良き先輩であることが出来,また既に相当な経験を積んでいる方々には,もう一度知識を整理し,それを確実なものとして更に前進することが出来るような最善の伴侶となることが出来れば,と願ってやまない.  終りに,本書が出来上る迄,御懇篤な御指導を下さった大阪大学第1内科阿部裕教授に心から感謝致します.また,終始,熱心に御協力下さった大阪府立病院婦長村上徳代氏,同主任中山美恵子氏,大阪厚生年金病院透析室主任阿部晴氏に深甚な感謝の意を表します. 1981年2月 筆者ら    《目次》 目次 1.血液透析とその適応 1 A.血液透析とは 1 B.血液透析療法の適応 1 1.慢性腎不全 2 a)慢性血液透析開始の基準 2 b)慢性血液透析が必要となる原疾患 3 2.急性腎不全 4 3.腎不全以外の血液透析の適応 4 2.腎機能喪失によりみられる症状 6 A.腎機能の喪失と臨床症状 6 1.排泄機能喪失による症状 7 2.水電解質調節異常による症状 10 a)腎不全における水電解質代謝異常 10 b)血液透析と水のバランス 10 c)血液透析とNaのバランス 10 d)血液透析とKのバランス 10 e)血液透析とCaのバランス 11 f)血液透析とPのバランス 11 g)血液透析と酸塩基平衡 11 3.内分泌および代謝機能異常による症状 11 3.血液透析の基本原理 14 A.ダイアライザー(透析器) 15 B.拡散による移動 15 C.限外濾過による移動 18 D.流量と圧 20 E.ダイアライザーの性能の調べ方 22 4.血液透析の設備について 23 A.透析液供給装置と患者監視装置 23 1.供給装置 23 a)稀釈用精製水製造装置 24 b)混合送出装置 24 2.患者監視装置 26 B.その他の必要な装置設備 27 1.血液ポンプ 27 2.微量自動注入装置 28 3.単針(シングルニードル)制御装置 28 4.漏血計および気泡検出装置 30 5.ベッドスケールおよびスケールベツド 30 6.除水コントローラー 32 7.透析液有効浸透圧調節機構 32 a)透析液濃度制御機構 32 b)透析液Na注入装置 33 C.薬品および消耗品 33 1.薬品類 33 a)透析液原液 33 b)ヘパリン 35 c)他薬剤 35 2.消耗品 35 a)血液回路 35 b)ダイアライザー 36 c)滅菌方法 38 d)穿刺針 39 e)その他の消耗品 40 5ブラッドアクセス(シャント) 41 A.ブラッドアクセス(シャント)の種類 41 1.動静脈シャント(外シャント) 41 2.動静脈瘻(内シャント) 42 3.動静脈移植 44 4.動脈表在化 44 B.シャントトラブルとその対策 44 C.緊急時のブラッドアクセス 45 D.ブラッドアクセスの合併症 47 1.局所性合併症 47 2.全身的な合併症 47 6.透析療法の体制と準備・計画 48 A.透析療法の体制 48 B.透析療法導入の準備 50 1.精神的な準備 50 2.シャントの作製 51 3.透析療法の教育 51 C.透析療法の個々の計画 51 1.導入時の計画 51 2.適正透析の基準 52 3.透析間隔 53 4.透析時間 54 5.標準化透析量 Kt/V 55 7.透析療法の実施と管理 56 A.透析の開始と終了 57 1.透析開始前の準備 57 2.透析監視装置の調整 57 3.透析液の充填(プライミング) 59 4.穿刺および回路との接続 60 5.ヘパリン化法 66 6.限外濾過圧の調節 67 7.返血操作 68 B.透析中の管理方法 71 C.透析中の患者の病態 76 1.血圧の低下 76 2.胸痛・苦悶 78 3.不整脈 78 4.筋肉痙攣(こむらがえり) 80 5.嘔気・嘔吐 80 6.頭痛 80 7.そう痒感 81 D.透析中の事故と対策 81 1.患者側の事故と対策 82 a)血腫 82 b)穿刺部の出血 82 c)発熱 83 d)月経過多 83 e)肺水腫 83 f)高カリウム(K)血症 84 g)痙攣発作 84 2.機械および回路側の事故と対策 88 a)空気誤入 88 b)血液回路の凝血 89 c)停電 89 d)膜破裂 90 e)硬水症候群 91 f)透析液濃度異常 91 8.透析による治療効果 92 A.臨床症状 92 B.血液検査成績 94 1.血液尿素窒素(BUN)・血清クレアチニン・尿酸 95 2.血清総蛋白量・ヘマトクリット値 96 3.血清ナトリウム(Na)・カリウム(K)・クロール(Cl) 96 4.血液pH 96 5.血清カルシウム(Ca)・リン(P) 97 6.その他の検査 98 9.透析患者の長期管理における臨床的問題と対策 99 A.心臓,血管系の問題 100 1.高血圧 100 2.動脈硬化症 102 3.心外膜炎 103 4.心内膜炎 105 5.心不全 105 B.血液学的問題 106 1.貧血 106 2.白血球・血小板 108 C.神経学的問題 108 1.尿毒症性脳症 108 2.尿毒症性神経炎 109 3.脳血管障害 109 4.透析不均衡症候群 110 5.透析性脳症(透析痴呆) 111 6.手根管症候群 111 D.カルシウム(Ca)・リン(P)・骨代謝および内分泌代謝の問題 111 1.カルシウム(Ca)・リン(P)・骨代謝 111 2.糖代謝障害 116 3.脂質代謝異常 116 4.その他の内分泌障害 116 5.ビタミンと栄養障害 117 E.感染症 117 1.細菌感染 117 2.結核感染 118 3.ウイルス性肝炎 118 F.消化器系の問題 119 G.透析患者の手術 120 10.生活管理と指導 122 1.食事管理 123 2.日常生活と運動 128 3.社会復帰 128 4.経済的問題 129 5.心理的問題 129 6.各種薬剤の使用上の注意 130 11.急性透析 131 A.急性腎不全の透析療法 131 1.急性腎不全の分類 131 2.症状と診断 131 a)臨床症状・所見 131 b)急性腎不全の診断 134 3.治療 135 a)保存的療法 135 b)人工透析療法 135 4.予後 136 B.薬物中毒の透析療法 137 1.薬物中毒 137 2.中毒を起こしやすい主な薬物 137 a)バルビタール系薬剤 137 b)鎮静剤・精神安定剤 138 c)鎮痛剤 138 d)メチルアルコール 139 e)金属 139 f)農薬・その他 139 12.腹膜透析 140 A.原理 140 B.適応 142 C.禁忌 143 D.実施方法 144 1.腹膜透析液 144 2.腹膜穿刺法 145 a)穿刺に必要な器具 145 b)穿刺部位 146 c)穿刺の実技 146 3.腹膜透析の手技 150 a)一般的方法 150 b)自動腹膜透析装置を用いる方法 150 4.腹膜透析中の管理 152 a)患者の管理 152 b)腹膜透析の記録 152 c)その他 152 5.腹膜透析における実際の問題点 154 a)透析方針の決め方 154 b)実施上で注意すべき点 154 c)腹膜透析が順調に行われない場合の対策 154 6.腹膜透析の事故と合併症 156 a)腹壁穿刺中の事故 156 b)腹膜透析の副作用および合併症 157 E.持続性自己管理腹膜透析 158 1.CAPD用カテーテル 158 a)テンコフTenckhoffカテーテル 158 b)Toronto Western Hospital (TWH)カテーテル 160 c)ゴアテックスGore-Texカテーテル 160 d)Lifecath 161 e)Valliカテーテル 161 2.CAPDの実施 162 3.CADPの効果 167 4.適応 170 5.合併症 170 F.APD (automated peritoneal dialysis)療法 171 13.その他の血液浄化法 174 A.血液濾過法 hemofiltration (HF) 174 1.血液濾過法とは 174 2.装置 174 3.濾過膜 176 4.補充液 176 5.臨床効果 176 a)血圧管理の容易化 178 b)溢水患者の除水 178 c)骨,関節症状の改善 178 d)その他 178 B.血液濾過法と類似の治療法 178 1.血液濾過透析 hemodiafiltration (HDF) 178 a)方法 179 b臨床効果 179 2.extracorporeal ultrafiltration method (ECUM) 179 3.連続的動静脈濾過法 180 C.血液(血漿)吸着法 hemo (plasma) adsorption 181 1.血液(血漿)吸着法とは 181 2.血液吸着法とその対象患者 181 3.血漿吸着法とその対象患者 182 D.血漿交換法 plasmapheresis 182 1.血漿交換法とは 182 2.手技・装置 183 a)遠心分離法 183 b)単純膜分離法 184 E.分離血漿再処理法 185 1.二重濾過血漿交換法 185 2.血漿冷却濾過法 185 3.適応症 187 14.小児の腎不全と透析 188 A.小児における腎不全 188 B.小児における人工透析 188 1.腹膜透析 188 2.血液透析 189 a)小児における血液透析 189 b)ブラッドアクセス(シャント)の作製 189 c)血液透析中の合併症 191 d)長期透析時の合併症 191 3.小児透析患者の管理 192 a)小児透析患者の精神管理 192 b)小児透析患者の栄養管理 192 15.家庭透析 193 1.家庭透析とは 193 2.家庭透析のための教育,訓練 193 3.家庭透析患者の管理 194 16.透析手順 195 A.プライミング 195 1.予備知識 195 a)消毒と滅菌の意味 195 b)手洗いの必要性と方法 195 c)滅菌器材取り扱い上の注意点 195 d)守らなければならない清潔の度合区分 196 2.プライミングの必要性 196 3.点検と準備 197 a)透析付属器械の点検 197 b)必要物品の準備 197 4.プライミング手順 198 B.透析開始 205 1.透析開始前の付属器械の点検 205 a)コンソール 205 b)単針制御装置 205 c)血液ポンプ 206 d)ヘパリン注入器 206 e)ダイアライザーと血液回路 206 2.穿刺開始直前の準備 206 3.穿刺開始手順 206 a)穿刺施行者 206 b)介助者 207 4.透析開始直後の確認事項 208 5.透析前の採血方法 208 a)血漿を提出する場合 208 b)全血を提出する場合 209 c)血液ガス分析用の採血方法 209 C.自己穿刺 210 D.透析終了前の準備 213 1.終了30分前の準備 213 a)必要物品 213 b)準備方法 213 c)単針制御装置における採血方法 214 2.透析終了直前の準備 215 a)透析付属器械側の準備 215 b)透析者側の準備 215 E.返血 216 付録I.ダイアライザーの性能比較表 220 付録II.各種薬剤の性質と使い方 228 1.抗生物質 228 2.鎮痛薬 229 3.鎮痛薬・睡眠薬・トランキライザー 229 4.循環器系,降圧利尿薬 230 5.その他 231 文献 233 参考書 245 索引 247

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