内容説明
「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営むネッドの前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。にわかには信じがたい話に混乱するネッド。だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。なぜ父は今頃になって現われたのか?ネッドは否応なしに錯綜する謎の渦中へ巻き込まれてゆく。スピーディかつスリリングに描くサスペンス巨篇。
著者等紹介
フランシス,ディック[フランシス,ディック][Francis,Dick]
1920年ウェールズ生まれ。障害競馬の騎手として第一線で活躍し、1957年の引退後、執筆業に転じた。自身の経験を活かした作品を次々と発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞を三度受賞したほか、英国推理作家協会(CWA)のゴールド・ダガー賞なども受賞、またこの両賞で巨匠賞を受賞した。2010年没
フランシス,フェリックス[フランシス,フェリックス][Francis,Felix]
1953年生まれ。ディック・フランシスの次男であり、長年父のリサーチを手伝ってきた。2007年の『祝宴』以降は共著者となり、父の遺作となった『矜持』(2010年)まで共に執筆にあたった
北野寿美枝[キタノスミエ]
神戸市外国語大学英米学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やす
6
競馬界の嫌われ者ブックメイカーが主人公。おそらく主人公になるのは初めて。RFIDだインターネットだ携帯電話のジャマーだと、これはフェリックスの入れ知恵だろう。ディックは物語の末に求婚するのが多かったが、今回は既婚者が障害を克服して強く結ばれるという話。前回の少し陰鬱な話とは打って変わってフランシス流のハッピーエンドはよかった。しかし、長い。初期のころはこの半分で十分に物語っていた。2名で書いてるからしょうがないか。さて残り一冊となった。解説者と同じく死の間際まで取っておくか。文庫化で読むか。それが問題。2012/06/12
Syouichi Nishiyama
3
またディックフランシスが読めるとは嬉しい!筆を折るまでの作品は全て読み終えて、新たな作品にはもう出会えないと思っていたのに。 そして、この作品もディックフランシスらしいのに、近代社会になっている。相変わらずの競馬が舞台で、男女の話やら社会問題も交えて、完璧です。 やはり図抜けてナンバー1作家さんだわ。2022/10/12
sarakura3
3
ブックメイカーが主人公、いろんな職業があるものと勉強になった。面白かった、一揆読みでした。2015/07/27
夜梨@灯れ松明の火
3
脅されても、殺されそうになっても、敢然と悪に立ち向かう勇気ある「強い男」が主人公なのはいつもと同じです。それなりに面白いのですが、なんとなくディック・フランシスとは違う気がします。本当に違うのか?息子の本と思って読むから違う気がするのか?それとも翻訳者の違いなのでしょうか?翻訳者の違いは大きいはずです。でも傑作ではないけれど、やはり引き込まれます。あと一作…2012/03/14
びぜんや
2
フランシス親子共著の作品を読むのはこれが初めて。初期作からは大きく時代が下り、インターネットやICチップが小道具として出てくるあたりには隔世の感を感じますが、ブックメーカーに関する緻密な描写や英国の小さな競馬場の風景の鮮やかさ、そして女王陛下の国の矜持を感じさせる主人公の造形は相変わらず。そこに魅力的な謎が絡み合い、多彩なキャラクターが次々と登場して手応えたっぷり、まったく飽きることがありません。「フランシス印」として安心して楽しめる好著でした。★★★★☆2024/05/29