内容説明
これこそ望んでいた家だわ!とグエンダは思った。ディルマスで見つけた小さなヴィクトリア朝風の売家。ニュージーランドから来たばかりの若妻はその別荘をすでに隅から隅まで知っているような気がした。そして、家の中の階段をおりかけたとき、いい知れぬ恐怖が体をかすめた。家には幽霊が出るのでは、あるいは誰か亡くなった人がいるのでは?部屋の戸棚の中から現われた古い壁紙を見て、彼女はさらに動揺した。この古い壁紙の模様をなぜわたしは頭に想い描くことができたのか…。回想の中の殺人を今に甦らせるミス・マーブル最後の事件。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
21
読破。再読。読メ登録300冊目がSFだったので、301冊目はこれまた思い入れのあるミステリを。本書はミス・マープル最後の事件。『カーテン』と共にクリスティーの生前に執筆され30年間ニューヨークの金庫の中で眠り続けた作品。『カーテン』は娘に、本書は夫にそれぞれ贈与されている。ミステリは過去に起こった事件を解くことを主眼としているが、クリスティーはそれをさらに推し進め、「回想の殺人」という手法を生み出している。「~いっさい手をださないこと」そのマープルの言葉を聞き入れなかった主人公の前に、過去の扉が開かれる。2011/11/25
夢の中で枕濡らし
16
表紙よりデカメロンノンルックくり抜き事件かと思ったがそうではなく過去の事件をさぐるミス・マープル最後の事件だった。最後の事件と銘打ってるのに関わらず最後感はなくここまで長いシリーズを続けるには当たり前の日常を毎日コツコツ食べるだけですカレーを、というイチロー的な教訓かと思いきや笑っていいとも通常回の最終回的な最後だったのかもしれない。それくらい特別感はなく、ほんのり寂しさだけが残る事件の意外性もへったくれもない最後。後半はほぼ会話劇。それを見てるだけなのに耳で聞いているような心地。揺りかごに揺られながら。2022/03/17
くみ
16
冒頭のもやもやするエピソードとその描写にじわじわ引き込まれる。しこもミスマープルが「寝た子を起こすな」とか再三言うんだものー!犯人の残忍性は解決後のさらっとした会話に凝縮されてました。生々しい描写はないけども、本を閉じたあとに思い出してざわざわするそして容疑者の描写を含め、クリスティーの作品では人の多面性を自分の感覚で確認する重要性をいつも提示されてる気がします。ミスマープルシリーズ最後の作品。だけど時代設定は「復讐の女神」より前かな。ミスマープルがすごく元気だから!特にラスト!それが嬉しい😋2019/09/29
ごへいもち
16
再読。じゃなくてDVD視聴。ストーリーは知っていたので、英国のカントリーサイドの家と庭、ティータイムのカップやケーキ、若く美しいグエンダとジャイルズのファッション、とても楽しめた。家を衝動買いできるぐらいお金も充分にあるらしいジャイルズはマープルの甥のレイモンド・ウエストの従兄弟。2015/08/17
アヴォカド
10
読書会のため再読。噴霧器サイコー。2019/04/23