内容説明
なぜこんなものを習うのか、不可解な数学。でも、たとえばあの小難しい微分積分が何をしたくて考え出されたかわかったら、微積分発明の裏にニュートンとそのライバルのどろどろした先取権争いがあったと言ったら、俄然興味がわいてきませんか?生きたドラマの宝庫である天才数学者の生身の肖像を辛辣に、共感をもって描き、関連書で必ず引用される名作数学史。1巻は近代数学の成立前夜までを紹介。
目次
1 序論
2 古代のからだに近代のこころ―ツェノン、エウドクソス、アルキメデス
3 貴族・軍人・数学者―デカルト
4 アマチュアの王者―フェルマ
5 「人間の偉大と悲惨」―パスカル
6 海辺にて―ニュートン
7 万能の人―ライプニッツ
8 氏か育ちか―ベルヌーイ家の人びと
9 解析学の権化―オイラー
10 誇り高きピラミッド―ラグランジュ
11 農民から俗物へ―ラプラース
12 皇帝の友―モンジュとフーリエ
著者等紹介
ベル,E.T.[ベル,E.T.][Bell,Eric Temple]
1883年、スコットランドのアバディーンに生まれる。アメリカに移住後、全米数学者協会会長や全米科学振興協会の副会長などを歴任、各種数学専門誌の編集委員もつとめる。1960年死去
田中勇[タナカイサム]
1930年生。法政大学大学院博士課程修了
銀林浩[ギンバヤシコウ]
1927年生。東京大学理学部数学科卒。明治大学名誉教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
39
【真理鉱山1】テーマ読書の次は真理鉱山。これはイーガンの究極のSF「ディアスポラ」から借用したもの。永遠の命を生きてなお追及に値する不変なものとして主人公が最後に選んだのは数学だった。公理・定理・演繹法の鉱山。■数学は高校以来避けて通っていた。気になり始めたのは量子力学だった。【人新世】シリーズで現代科学の行く末、つまり人類の行く末に示唆を与えてくれそうな気配があるが、結局数学を知らないと読み進められない。【始原へ】シリーズで近代以外の社会に浸ってみると、反動で逆に近代科学を駆動した数学や物理学が気に↓2021/01/31
LUNE MER
20
数学の楽しさを感じるために「数学が出来る」ことは必要条件か?と問われれば、「否!」と即答したい。具体的には、数学者のエピソードを追いかけるだけでも、数学周辺の空気は十分に楽しめるのである。(もちろん、そこで興味を持った内容についてがっつりとガチで取り組めるのであればそれに及くものはない。)本書の内容を元ネタにして「笑わない数学」のノリで「知ってるつもり⁈」の数学者バージョンとか作ったらそこそこ面白くなりそうなんだが。2022/09/27
魚京童!
15
考える方法がわかれば、考える機械ができるのはすぐだと思う。考える機械ができれば、人間は考えなくていい。他のことに集中することができる。例えばお酒に酔っぱらうとか。ああ、人生は素晴らしい。筋トレは愉しいという。筋肉をいじめると、筋肉が反応してくれるらしい。脳みそも筋肉みたいなものなのだろう。いじめて楽しんでるんだ、きっと。使わないより使ったほうがいいなんて、貧乏根性だな。2024/06/28
KAZOO
9
かなり昔の本のようです。ですから割り切って最近の成果は別の本にして数学の古代からの歴史を勉強するにはまあ十分だと感じました。Ⅰにはアルキメデスなどからフーリエまでが書かれています。人物像に関しては十分な記述がみられるので割り切ってしまえばいいのでしょうがもう少し理論などにページを割いてほしい気持ちです。2014/02/23
roughfractus02
5
「ニュートンはガリレオが死んだ1642年のクリスマスに生まれた」(p184)とあると彼らが線状的時間上にいるかに見える。が、線の概念を作ったのは彼らであり、そのほとんどは数学者と呼ばれなかった。普遍を相手にする数学は歴史や人間概念の外にある。一方、そんな学に携わる人々を歴史の上に配し、書簡や証言から彼らの肉声や振る舞いを抽出しつつ個々の業績を辿ると、数学と格闘する者たちの奇妙な生が浮かび上がってくる。本巻はギリシャ数学からデカルト、フェルマー、ニュートン、オイラー、ラグランジュ、ラプラス、フーリエに至る。2017/12/21