内容説明
ドイツ落下傘部隊の勇士シュタイナ中佐は生きていた!チャーチル首相誘拐の密命を帯びてイギリスに潜入し、奮戦むなしく戦死したと思われていたシュタイナは、一命をとりとめ、ロンドンで幽閉されていた。それを知った親衛隊長官ヒムラーは、IRAのデヴリンらにシュタイナ救出を命じる。だが、イギリスでは特殊作戦執行部のマンロゥ准将がデヴリンらの到着を待ちかまえていた…名作『鷲は舞い降りた』待望の続篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
136
absintheは面白い冒険小説として記憶しているが、前作「鷲は舞い降りた」と別個に評価するというのは難しい。どうしても比較してしまい、多くの人は本作を駄作という烙印を押すだろう。小説をその内容以外で批判するのは本当に不毛だが、前作と比較せずにはいられない。冷静に本作だけを楽しもうと思えば、流石はヒギンズと思わせ迫力もある良書なのに…。
future4227
37
『鷲は舞い降りた』の続編。前作があまりにも秀逸過ぎたためか、こちらの方は評価が分かれているようだが、いやいやなかなかの面白さだと思う。ドイツの英雄クルト・シュタイナ中佐がせっかく生きていたという設定なのに、あまり活躍してないのが残念なところだが、その代わり工作員のリーアム・デヴリンが『ミッション・インポッシブル』ばりの活躍を見せる。前作とはかなり印象が変わって、頭脳明晰、射撃の達人、ユーモアもあり、人情味のある2枚目。はたして作戦は成功するのか、後半はハラハラの展開が一気に進んでいく。2017/01/11
ひよこ
26
◆『鷲は舞い降りた』の続篇。前回で死んだと思われたシュタイナがイギリスで捕虜になっているという情報をつかんだドイツが奪還を謀るが、イギリス情報部が待ちかまえる。◆前作が良すぎてこちらはイマイチ・・・というレビューが多いが、なんのなんの!ストーリーはもちろん、相変わらずの魅力的な登場人物たち、奪還命令の陰に隠れたヒムラーの陰謀等々、趣きは変わっても前作に劣らない冒険劇!またもヒギンズに心熱くさせられました。しかしデブリンさん、10歳以上も離れた女の子にモテすぎ!一度お顔を拝見したいですわ(笑)2017/03/09
ふみふみ
13
再読。ロンドンに幽閉されたシュタイナをリーアム・デブリンが救出に向かう。例によって登場人物は悉くキャラ立ちし、タフで粋な科白が飛び交い、テンポの良いヒギンズ節で物語は展開します。胸が熱くなるのは前作同様で、主人公のデブリンは、「おれたちにできない事を平然とやってのけるッ、そこにシビれる!あこがれるゥ!」です。この、ちびで教養豊かなIRAの闘士というキャラ造形は著者のお気に入りで「死にゆく者への祈り」のマーチン・ファロンから始まり、デブリン、そして「嵐の眼」以降のショーン・ファロンへと引き継がれていきます。2024/12/07
鐵太郎
12
不満がいくつかあります。シュタイナは撃たれたが九死に一生を得て捕虜となった、という設定はそんなに無理はない。問題は別にあります。伝説となった物語に、再び埃を払って新しい酒を注ぎ込む。飲むに耐えられるのか。残念ながら人物や物語が小粒になった感は否めません。英国側に登場するサブの人物たちが、同じパターンを繰り返してしまっています。英国に潜入したまま身分を隠していたスパイたち、デヴリンに惚れる娘、武器・装備を仕入れることができるギャングたちとその裏切り。デジャブか、これは? …しかし後半の展開は、いい。渋い。2010/01/09