出版社内容情報
15年前、雪の山荘で悪女に毒をもったのは誰か。正統派本格の新鋭登場。解説/有栖川有栖
内容説明
雪に閉ざされた山荘で女子大生・弥生が毒殺された。容疑者は同泊のゼミ仲間の4人。外界から切り離された密室状況で、犯人はどうやって彼女だけに毒を飲ませたのか。容疑者4人は推理合戦を始めるが…そして事件未解決のまま時効が迫った15年後、容疑者の一人が唐突に告げた。「弥生を殺したのは俺だよ」推理とどんでん返しの果てに明かされる驚愕の真実とは?第3回アガサ・クリスティー賞に輝く正統派本格ミステリ。
著者等紹介
三沢陽一[ミサワヨウイチ]
1980年、長野県岡谷市生まれ。東北大学大学院法学研究科修士課程修了。大学研究助手などの仕事をしながら、各種文学賞に投稿し、2013年本書『致死量未満の殺人』(『コンダクターを撃て』改題)で第3回アガサ・クリスティー賞を受賞し、デビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジンベエ親分
62
新規開拓。タイトルと裏表紙の粗筋だけで買ってみたのだが、悪くはなかった。15年前に起きて時効を迎える事件は、典型的な「雪の山荘での毒殺事件」で、当時の容疑者の1人(なんせそこに集まった4人全員に動機がある)が「実は俺が殺した」と告白するシーンから話が始まる。なので15年前の回想シーンは倒叙モノで、かつハウダニットなのか、と思うのだが、当然その奥に幾重にも仕掛けが…という構造。面白くないはずはない。まあ文章がちょっと自己満足的だったり人物があまりに役割に徹していたりするあたりはなんだかな、とは思うけど。2019/02/19
森オサム
60
著者初読み。第3回アガサ・クリスティー賞受賞作。犯人の告白から始まる倒叙ミステリー、かと思いきや、終盤で二転三転の本格ミステリー、なんでしょうね一応。まず悪い点、文章が読み辛い。回りくどく気取った表現の連発で、読んでいてぐったり疲弊した。また、被害者が余りに酷い性格で、なぜ皆一緒に旅行に行くのかそこから納得出来ない。同行者全員に動機がある、と言う状況を作りたかったのでしょうけど。良かった点は、トリックでしょうか。実効性はともかく、なかなか面白いと思った。まあ、ホントに気に入ったのはタイトルだけでしたけど。2017/06/11
*maru*
35
『アガサ・クリスティー賞殺人事件』に続いて三沢さん2冊目。犯人の告白で幕を上げる本作。雪に閉ざされた別荘、毒殺、男女のいざこざ、悪女…王道だからこそのテンションが上がる設定で、つかみはOK。トリックや、ハウダニット重視の物語と思いきやの流れは良かった。けれど、「でも…」と言いたくなるのは何故だ。あれだね、エピソードや会話文に対して著者の口数が多すぎる。せっかくの終盤の加速も「ええ。想定内です」と静かに着地。三沢さんごめん。ちょっとクドイっす。あっ、タイトルは好き。有栖川先生の解説も良かった。2018/08/19
left7
34
初読みの作家さんでした。アガサクリスティー賞に違わぬ面白さでした。結末に向けて読者を翻弄していく技術はさすがでした。二転三転していく真実に身を委ねて騙される楽しみを堪能しました。他の作品も読んでみたい作家さんに出会えました。2016/04/21
本木英朗
30
第3回アガサ・クリスティー賞受賞作。閉ざされた雪の山荘で15年前に起きた毒殺事件の時効直前、男が己の罪を関係者に告白するのだが……。あまり語り過ぎない方がいい内容だと思うので、簡潔に。極めて純度の高い本格ミステリで、ケレン味は一切感じられない。そんな無味乾燥としたイメージが真相解明の際に、ミステリ的な意味を超えて物語としての飛躍をもたらしてくれた。この言葉に興味を持ってくれる人なら、読んでみてもいいと思う。というかまあ、有栖川有栖氏の解説を読むと、もっと読みたくなるでしょう。2015/12/06