内容説明
あたし、新井素子。19歳のSF作家志望の女の子。新人賞のために『絶句』ってタイトルの原稿を書いている。読者が絶句するほどおもしろい話になるはずが、なぜか突然、小説のキャラクターたちが実体化してしまった!?滅法強いヒーローやマッド・サイエンティスト、超能力者の美少女風男子や素子に瓜二つの人猫が、それぞれ現実世界で生活を始めて…23年ぶりの書き下ろし番外篇「秋野信拓の屈託」と新あとがきを収録。
著者等紹介
新井素子[アライモトコ]
1960年東京・練馬生まれ。立教大学ドイツ文学科卒業。77年、高校在学中に「あたしの中の…」が第一回奇想天外SF新人賞に入選。話し言葉を活かした斬新な文体とストーリーが選考委員の星新一に激賞された。SFファンの圧倒的な支持を受けて、81年『グリーン・レクイエム』、82年「ネプチューン」で2年連続星雲賞受賞。99年には『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞に輝く。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はなん
18
帯に「強い物語。」とあります。その通りだ、と思います。更に素子せんせが心底楽しんで書いていることもこちら側に伝わってきます。あとがきではキャラクターの体力も作家の体力に比例する、みたいにおっしゃっていて、そこを納得できる私はやっぱり、ずっとこの作家さんを追いかけてきたから、なのでしょうか。幸せ、だな。おまけの書き下ろしは、ネタバレ含んでいるので後で読みます。って再読だからバレるもなにもないんだけど、薦められるままに読みたい気分だから。うん。とても元気だ。なんてのびのびとした物語だろう!と嬉しくなりながら。2014/02/20
><
15
初版2010年。有川浩さん著『倒れるときは前のめり』で登場した一冊で、興味が湧いて読みました。(次はどうなるの?)の連続。下巻も読んでみよう。2023/05/07
LUNE MER
14
「好きな本と真逆」らしいという逆張りの推薦を受け初新井素子さん。海外文学の訳本を読んでいる限りはほぼ味わうことが不可能なところの、独特の文体による軽妙さを味わえるこの悦び。母国語で読めることのなんと幸せなことか、ってやつ。作中の素子さんはどれだけリアルな素子さんと重ねて良いのか分からないが、作品中に出てくるどっちの素子さんもかわいい。ところで西澤保彦作品読んでる時の空気を感じるのは僕だけだろうか?そのうちチョーモンインのメンバーが出てきそうな雰囲気なんだけど。2021/11/30
ぎん
13
何というか、同人誌的なというか、オタク的なというか、読んでいる方が気恥ずかしくなるような文章を堪えながら読んで…。ちゃんとした感想は下巻で。2017/05/28
みのくま
10
面白かった!初新井素子なんだけど、これは面白かった訳。とにかくずっとキャラクターもとちゃんが可愛らしくて堪らないし、他の登場人物たちも何か例えようのない愛嬌があり癖になります。しかしそれだけではないのが本作の恐ろしい所で、ほんわか気分で読んでいると急にビシッとくる事が書いてあったりする。本作のテーマはおそらく作者(絶対者)とキャラクター(被支配者)の関係性だ。それは絶対者=人間と被支配者=動物という等式も結べる。なぜ人間(=作者)は絶対者でいられるのか。それはおそれを知らないからだ。下巻も期待する。2017/12/02