内容説明
駆逐装甲動力スーツを身にまとったわたし、太陽系宇宙軍の新藤中尉は、人間の憎悪を喰らう怪魔を追っていた。だが、ついに対峙した敵は、わたし自身だった。このスーツ内にはいったい誰が…鏡像との闘いの意外な結末を描く表題作、時間と睡眠をめぐる永久逃亡犯と永久刑事の相克「渇眠」、鏡世界への転移実験の顛末を描く「ハイブリアンズ」ほか、アイデアと思索が完璧に融合した全6篇を収録する、神林長平初期傑作集。
著者等紹介
神林長平[カンバヤシチョウヘイ]
1953年新潟県生まれ。1979年、第5回ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選作「狐と踊れ」で作家デビュー。第1長篇『あなたの魂に安らぎあれ』以来、独自の世界観をもとに「言葉」「機械」などのテーマを重層的に絡みあわせた作品を多数発表、SFファンの圧倒的な支持を受けている。『敵は海賊・海賊版』、『グッドラック 戦闘妖精・雪風』などの長短篇で、星雲賞を数多く受賞(以上、早川書房刊)。1995年、『言壷』で第16回日本SF大賞を受賞した
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感想・レビュー
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Tadashi_N
22
雪風以外の作品を初めて読んだ。世界観がしっかりしていた。2020/01/30
ヴェネツィア
12
神林長平の初期の6つの短篇を収録。いずれも基本的にはアイデンティティをテーマとするが、神林の優れているのは(それはまた同時にきわめてSF的でもあるのだが)そのアイデンティティの問いかけが、単に個人や人間のそれのみにとどまらず、物質や時間、あるいは宇宙空間そのものに対する根源的なものになっていることにある。現在の神林作品からすれば、いくぶんもの足りと言えなくもないが、それは逆に言えば絶えざる問いかけと練達が今の神林をあらしめていることの証でもあるのだろう。6篇の中では、表題に取られた『鏡像の敵』が秀逸か。2012/03/21
hirayama46
6
神林長平の短編集。まだデビューしてそれほど経っていない時期ですが、のちのちの長編に通底するテーマや素材が扱われているのが興味深かったです。長編ほどのぐねぐね感はありませんが、切れ味があったり、とぼけた味があったりで楽しめました。2017/02/22
Taito Alkara
6
折角借りたので頑張ってみたのだけれど、やはりSFということで、35ページでダウン。このジャンルに壁を感じる今日この頃です……。2016/04/13
スズツキ
5
似たテーマで似た雰囲気の短編集。まとめて読んだら疲れました。ちょっと合わなかったかな。2013/03/25