内容説明
麻薬原料の密輸を潔しとせず、積荷を偽物とすり替え代金を騙し取ったのが、ミリガン運送とマフィアのクレメント・ファミリーの因縁の始まりだった。またしても追っ手を逃れ、ロイドら3人が逃げこんだのは、原始星系アンクス。しかし新たな仕事を請け負い、無数の彗星が飛び交う航路を進むアルフェッカ号に、宇宙海賊の船影が迫る。さらにクレメント・ファミリーの捜索の網はこの星系にまで及んでいた…シリーズ第3弾。
著者等紹介
野尻抱介[ノジリホウスケ]
1961年三重県生まれ。計測制御・CADプログラマー、ゲームデザイナーを経て、1992年、ゲーム「クレギオン」の設定をもとにした『ヴェイスの盲点』で作家デビュー。以後、『クレギオン』『ロケットガール』の両シリーズで人気を博す。2002年に上梓した『太陽の簒奪者』(ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)は新時代の宇宙SFとして絶賛を浴び、短篇版に続いて星雲賞を受賞、「ベストSF2002」国内篇第1位を獲得した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
klu
12
海賊まあで仲間にしてしまうとは・・・気の弱いマフィア、しっかりもののおばあちゃん、皆いい味出しています。2017/06/08
チョモ
9
SF冒険活劇三巻。今度の相手は海賊とマフィア! 毎度無茶ばかりの面々ですが、今作のドタバタ感は強烈。エンタメ性溢れる一冊でした。理屈っぽい説明も、キャラクター性に結びつけて語られる事で馴染み易く描写され、SF特有の衒学感(嫌味感とも言う^^;)は本書には皆無でしょう。彗星の軌道を巡る海賊とメイの頭脳戦を○○に例える等、レトロな展開もまた心地良い。悪役も何か憎めない奴ばかりで、ジブリ作品をイメージして執筆したとの後書きで納得したり。雰囲気作りの巧さって言んでしょうか。この読後感には中々得難いモノがあります。2013/12/11
レイス
4
そこそこ面白かった。海賊もマフィアも対決シーンはゆるかったけども、野尻作品のSFは裏切らない。メイの活躍が派手だったので少女マンガで読みたいと思った。ロイドの「指図じゃない。あんたにもまだ残ってるかもしれん、良心に訴えているだけだ。」は名セリフ賞。拷問マシンはどんなハイテクだったのか、登場することなく終わった。2022/11/30
あかつや
4
第3巻もやはりよかった。筋としてはアウトローを義理人情で懐柔して別のアウトローにぶつけるという、まあ浪花節ってやつですね。ベタってのはこれはこれでいいものだけど、それよりもハードSF的日常描写がこのシリーズの本領だと思っている。エアロックを利用して洗濯物乾かしたり、野菜をフリーズドライしたり、うまいコーヒー入れるために推進剤の濾過装置から水を汲んだり、絶対使わないんだけど古くからの慣例で六分儀を宇宙船に常備することが義務付けられていたり、こういう描写がたまらなくそそられるんだよなあ。次の巻も期待してます。2018/04/23
ニミッツクラス
4
クレギオンの3作目。舞台はガス惑星が誕生しなかったせいで原始太陽系の様相を呈しているアンクス星系。営業免許更新に必要な船体検査から始まって、因縁のクレメント・ファミリー、アンガス率いる海賊たちとの三つ巴のドタバタ、いや、要所はキチンと押さえたスペオペが展開していく。ヴェイスのメイもすっかりミリガン運送の一員として馴染み、逆にメイなしではクレギオンは成り立たないのではとも思える。巻末の後書きに、本書はコメディタッチだと明記してあるが、それなりの戦闘場面もある。カウフマンとの因縁は続くのか。★★★★☆☆2011/10/11