内容説明
恒星間宇宙船。ここで過す者は宇宙空間ではなく、偽の風景を見て暮らす。だが、少女の部屋の窓はもう何年も前から雨の風景しか映し出さなくなった―。宇宙船に閉じ込められた少女の運命を描く表題作ほか、自ら創造したキャラクターが模型となって動き出すことになった少女の心の動きを描き、絶賛を浴びた「そばかすのフィギュア」、著者の原点ともいえるデビュー作「ブルー・フライト」など7篇を収録した新鋭の初作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
21
多孔質可変ポリマー内に張り巡らされる擬似神経を形成する植物性ニューラルネットワークと多値処理型ULSI技術により、動き、喋り、感情を有する「生きた」フィギュア。自らデザインしたフィギュアの試作品を得た靖子は、自己が投影されたフィギュアから離れがたくなるが、開発元から届いた非情の通知は…『雨の檻』として出版されたが、紹介した『そばかすのフィギュア』に書名が変更されたということで、こちらが好きな人が多かったかも。魔法のようなテクノロジーが実現した靖子と「生きた」フィギュアの悲しい交流には静かな美しさが。2019/11/15
miroku
14
菅浩江はやはり良い。感性あふれる第一短編集に大満足。2013/03/15
ひょろ
8
菅浩江さんの作品のイメージっていつもとても澄んだ青というイメージがある。たぶん「ブルー・フライト」のせい。でも澄んではいるけれど、よく目を凝らすとダークなものも見えてくる。それもまた味なのだと思う。「セピアの迷彩」「そばかすのフィギア」が特に好き。「セピアの迷彩」は「五人姉妹」とちょっと似ているかな。2016/02/08
k16
4
20120305読了。 短編集。 好きなのは 「カーマイン・レッド」 「そばかすのフィギュア」 かな。 書き下ろしの「お夏 清十郎」もとっつきにくいものの、面白かった。2012/03/05
アキ
4
SFは苦手だったんだけど、読みやすいから 知らずに感情移入してしまっている。 切なくて哀しくて温かくて・・・ 今回は読後がたまらないですね。何かしら心に残る。 デビュー作の「ブルー・フライト」が高校の時に書いた作品ってのが驚いた。 「お夏 清十郎」の稽古シーンとか葛藤が 結構リアルだと思っていたら、日舞の名取さんだったのですね。 芸術へのこだわりという点で納得しました。2013/05/29