出版社内容情報
星間戦争に敗北し、タイタンの生物に支配された地球。人口が激減したこの世界では、自らの土地を賭けた〈ゲーム〉が流行していた
内容説明
軍事兵器によって出生率が低下し地球の人口は激減。タイタンからやってきた異星生物ヴァグとの戦争にも敗れ、活力を失った人類の間では、土地を賭けた“ゲーム”が流行していた。カリフォルニア州に住むピート・ガーデンは、ゲームに敗れ自分の住む街バークレーを巻き上げられてしまう。雪辱を果たすべく、方策を練るピートだが、奇怪な殺人事件が起こり…。ゲームが支配するディストピアを描く初期長篇。
著者等紹介
大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんまいシリル
14
読み始めは一月前。話の流れがつかめずにいたが、殺人事件がおこってからはあっという間に読み終えた。特に登場人物に魅力を感じないし、理解できないところが多々あるが、結構面白かった。最後のフレアの話は、どう受けとればいいのかな? ネタバレ解説が欲しいなぁ。2020/07/23
roughfractus02
11
この世界を偽物と考えることとゲームと考えることは同じだ。両者共に真の世界の創造者、世界なるゲームのプレーヤーという一者の存在を読者に想像させるからだ。この一者は人間には想像不能であり、物語では時折想像を裏切る姿で現れる。タイタンの生命体が支配する世界、中国の兵器によって生殖力が減退し、相手を頻繁に取り替えつつ現実の土地を売買するゲームに耽る主人公と、彼に語りかける機械という本書の世界設定は、その外側を読者に意識させる。そして、自分はゲーム内のエージェントでは?と主人公が疑う時、物語より先に世界が急転する。2020/03/20
kurupira
8
初期作品だが洗練されてて古臭さが無く、目まぐるしく変わる展開は今の時代の方が理解されるのではと感じる、当時は逆に理解されなかったかもね。SF的ギミックも詳細説明なしに日常にあるモノとして描くのが時代変わっても色褪せない理由かも。良い脚本家と今の映像技術があれば映画やドラマにできるのでは??タイタン人とのゲーム対決シーンをセンスある人によって映像化して欲しいなあ2020/06/25
ふみふみ
7
中国の軍事兵器で出生率が低下し地球の人口は激減、更にタイタンからの異星人ウィグとの戦いに負けて半ば人類が支配された世界で土地を賭けてゲームに挑む主人公にプレコグ、テレパスなどの定番キャラが絡むPKDワールド満載のイケイケ系?SFミステリ。後半は主人公のラリパッパと擬態をかますウィグの変幻自在と意外な展開の畳み掛けに何がどうなってるの感が炸裂し、ゲームと一緒にストーリーも爆発してしまったような読後感もこれまたディックの十八番という感じでしょうか。人間に文句を言う自動車のガジェットがとてもユーモラスでした。2020/03/29
くらっくす
5
中国の軍事兵器により人類の出生率は著しく低下し、タイタンのヴァグによる支配体制を甘んじて受け入れた世界であった。上位の人間、地縛人は土地の所有権をかけてゲームを行っている。主人公がバークレーの所有権を失って自暴自棄になる所から始まる上、殺人が起きたにもかかわらず容疑者のうち6人の記憶が欠落していたり、サイキック達の組織に誘拐されたりと、ディックにしては少し雑な話を振り回す展開。ヴァグにも急進派と穏健派がおり、急進派には犯罪に巻き込まれ、穏健派には地球をかけたゲームを仕掛けられる。やはり構成も少し雑な気が。2020/03/30