出版社内容情報
「最後のウィネベーゴ」「ナイルに死す」他、ウィリスのシリアス系代表短篇全5篇を収録
内容説明
オックスフォード大学史学部の大学院生は、時間遡行技術を使って研究する時代に赴き、各々観察実習を行っていた。第二次大戦の大空襲下のセント・ポール大聖堂で、火災監視をすることになったぼくは…史学部シリーズ開幕篇の表題作を、新訳で収録。短篇集初収録作「ナイルに死す」、終末SFの傑作「最後のウィネベーゴ」ほか、ウィリスのシリアス系短篇から、ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞作のみ全5篇を収録した傑作選。
著者等紹介
ウィリス,コニー[ウィリス,コニー] [Willis,Connie]
1945年コロラド州デンヴァー生まれ。1967年、北コロラド大学卒業後、教師をつとめるかたわら小説を発表しはじめる。タイムトラベルSF“オックスフォード大学史学部シリーズ”の第1作「空襲警報」(1982)でヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞。シリーズ初長篇『ドゥームズデイ・ブック』(1992)は、ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞のトリプル・クラウンを達成した。1998年発表のシリーズ長篇第2作『犬は勘定に入れません』でヒューゴー賞/ローカス賞を受賞
大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
48
名作『最後のウィゴベーネ』は既読。「クリアリー家からの手紙」で最初に抱いた家族小説から一転した企みに度肝を抜かれました。そしてタイムトラベルSFでオックスフォード大史学部シリーズの幕開けを記した表題作でノックアウト。『オールクリア』、『ブラックアウト』も読まねばッ!また、『ナイルで死す』の登場人物たちの噛み合わない会話とぼんやりと分かるけど、口に出したくない結末はまさに怪談じみた正統派ホラーだと言えるでしょう。2015/09/01
miyu
45
コニー@ユーモアの「混沌ホテル」がよかったのでシリアス篇も期待大だったが、全編を通して流れる重い雰囲気(だからシリアスなんだけど)に呑まれて進まず。いちいちあれこれ思い悩みつつ、ようやく読了。終末に向かう途中での、何だか息苦しいまでの居心地の悪さ満載な内容だった。これもコニー様なのね、と感嘆する初心者丸出しな私。しかし「空襲警報」は好きなタイプの作品なので、これがオックスフォード大学史学部シリーズの幕開けとあれば、コニー様を読み進める楽しみが出来た。「ナイルに死す」の良さが私には今一つ分からなかったけど。2014/09/26
ゆるりは
32
SF賞受賞作品ばかりを集めた短中編集のシリアスな方(コメディの方も別売あり)。書かれたのは1980-90年代と古いけど「マーブル・アーチの風」は主人公と一緒にロンドンのメトロを巡った気分になれるし、「最後のウィネベーゴ」はちょっと新型コロナを彷彿とさせて余計に胸に来る。各話の後に付けられたメイキングのような作者コメントも嬉しい。ウィリスは良いなあ。2021/11/11
くさてる
26
一冊の短編集を二分割したうちのこちらはシリアス篇。他の短編集で既読の作品が多かったけれど、やはり素晴らしい作品ばかりで良かった。ウィリスの泣かせはどこか通俗的で、わたしはそこにときに抵抗を感じてしまうのだけれど、それに抵抗してどうなるんだと思って素直に涙ぐまされた。そして「ナイルに死す」の曖昧な怖さは底知れない。ウィリスは底知れない。2017/10/26
ぐっちー
25
宇宙船も空飛ぶ車も出てこないSF短編集。割りに重めの巻がこちらで、『混沌ホテル』とセットらしい。重めというか、作風やオチは寧ろホラー寄りだろうか。それでいてちょっと違うかもしれないが純文学寄りな薫りもする。それくらい奥行きのある作家だな、と感じた。聞けばこの中の作品が、他の長編の源泉だったり、シリーズ物の中の一作だったりするそうで、そちらも読みたくなった。2014/05/03