出版社内容情報
新聞の懸賞クイズに正解し続ける男の秘密とは?――ディックの初期長篇、待望の復刊!
内容説明
この町でその男の名を知らぬものはいなかった。レイグル・ガム。新聞の懸賞クイズ“火星人はどこへ?”に、2年間ずっと勝ち続けてきた全国チャンピオンだ。だが彼には時折、自分が他人に思えることがあった。ほんとうの自分はいったい誰なのか?ある日、同居する弟夫婦の子供が、近所の廃墟からひろってきた一冊の古雑誌が引き金となって、彼を驚くべき真実へと誘ってゆく…鬼才ディックの名作、ファン待望の復刊!
著者等紹介
山田和子[ヤマダカズコ]
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅう
110
新聞の懸賞クイズの全国チャンピオン、レイグルは時折、自分が自分でないような感覚に囚われていた。ある時、手に入れた雑紙や電話帳から自分の中にある違和感がどうしょうもないほどに膨らんでいく。それは幻覚、妄想なのか?この小説、ジャンルはSFなのだが、一方で良質なミステリを読んでるようなハラハラドキドキ感があって、楽しく読み進めることができた。今目にしている世界が、本物の世界なのか?仮想世界?これはディックにとっては永遠のテーマだ。2025/11/11
Vakira
54
ふとした事から日常生活に違和感、段々この気持ちが強くなる。この世界は自分の生きてきた世界と少しずつ異なる?もしかしたら誰かに騙されている?もしかしたら誰かではなく、自分を取巻く皆からかも。出ました、ディックさん十八番。このパターン、ディックさんSFに度々登場。自分がおかしいのか?世界がおかしいのか?ディックさんの長編執筆順では6作目。う~ん5作目とも類似している感じ。でも、ここに「トータルリコール」の原点をみた。主人公レイグルは「火星人は何処に」という国民的ゲームの2年間連続優勝者。2025/10/19
催涙雨
47
ディック作品を読みたいと思ったときに抱く動機というか、心情のようなものをきちんと満たしてくれる行儀のいい作品。ただし、読んだあとに残るパラノイアめいた感覚に限っていえばそう強いものではない。序盤は、実は自分が他人の作った虚偽の世界に捕らわれていて、その行動を誰かにモニターされているんじゃないか、みたいな強迫観念を猛烈に意識させるものなのだが、中盤から終盤にかけて虚構世界が実際に存在していることが明かされはじめ(そのためレイグルが抱いているのは実質的には強迫観念ではなく確信)、その理由をつまびらかにしていく2018/10/20
ハチアカデミー
24
いま自分が生活をする家が、街が、実在しないものであったとするなら… 妻が、子供が、隣人が存在しない人間であったなら… そんな思考実験を作品に仕立てた傑作である。新聞のパズル〈火星人はどこへ?〉三年間を解き続けていることで有名なレイグルは、ある日、目の前のキオスクが消滅し、紙片になる様を目撃する。そこから、いま目の前にある世界に、疑念を抱き始め… 小さな町での日常が、最後には壮大な物語となって終わる。「はじめに言葉ありき」という舞台設定や、過去の記憶と場所、アメリカ人と移動の問題など、読みどころ多し。2014/06/18
しょう
19
「トゥルーマンショー」を思い出させるような内容で非常に読みごたえがあった。前半部分は話の筋が自分にとっては分かりにくく、理解がなかなか追い付かなかったが、読み進めて思わず膝を叩きたくなるような納得感があった。ラストはやや勢いに任せて終わらせた感はあったが、中々面白かった。2015/02/03




