内容説明
「拷問者組合」の掟に背いて城塞を追われたセヴェリアンは、新たな任地へ向かう途上、拉致され、深い森の奥へと連れていかれる。そこに設えられた玉座で待っていたのは、反逆者ヴォダルスだった!謎の宮殿「絶対の家」で果たすべき密命を受けて、セヴェリアンは斜陽の惑星を旅しつづける。人知を超えた魔石「調停者の鉤爪」を携えて…。若き拷問者の魂の遍歴を綴るSF/ファンタジイ史上最高のシリーズ、第二弾。
著者等紹介
ウルフ,ジーン[ウルフ,ジーン][Wolfe,Gene]
1931年ニューヨーク生まれ。兵役に従事後、ヒューストン大学を卒業。1965年、短篇“The Dead Man”でデビュー。「アイランド博士の死」(1973)でネビュラ賞を受賞する。1980年より刊行が開始された四部作「新しい太陽の書」は、世界幻想文学大賞、ネビュラ賞、ローカス賞など各賞を受賞。名実ともに現代SF/ファンタジイ界を代表する作家
岡部宏之[オカベヒロユキ]
1931年生、1953年静岡大学文理学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
63
この巻でもまだあまりSF的な要素は少ない感じがします。内容は主人公が拉致され、使命を告げられてそのためにさまようのであまり進展はないような感じです。ただ少しづつ、SF的な登場人物も出てきます。最後に作者によるこの世界の解説があり参考になりました。2015/07/24
NAO
47
「新しい太陽の書」シリーズ2冊目。この巻で何といっても印象的なのはセクラの死肉を食する場面。自分を未来人だという緑人、異星から送り込まれた肉食獣の霊薬、ウールスの創生と未来を予言した謎の劇、時を越える力を持つ巫女と、まだまだ謎だらけの2巻。描かれていく様々な断片から、話はファンタジーではなく遠い未来のSFだということは分かるのだが、注意深く細部を拾っていかないと話が見えなくなってしまいそうだ。2017/05/27
星落秋風五丈原
39
【ガーディアン必読1000冊】主人公の出自が明らかでないという設定は『ナイト・ウィザード』と同じ。名剣テルミヌス・エストと人を癒す力を持つ調停者の鉤爪を持っていることで栄光を運命づけられた者であることははっきり分かる。年上の自分が手を下した女性セクラへの思いにうじうじしているかと思えば、ウルフ作品の主人公は女性によくもてる。来る者拒まずなのか、眼に入る者何でもなのかセクラの方亡きあときちんと恋人になるらしき相手はいるのに、それ以外の女性にも手を出し放題。英雄にしちゃ生々しいというか、と若者してるというか。2017/10/14
34
13
「すべての時が実在する。……もし未来がいま存在していなければ、どうしてわれわれがその方向に移っていくことができる? もし過去がまだ存在していなかったら、どうしてわれわれはそれを後にすることができる?」2017/01/07
スターライト
11
そもそも本書自体が、異国語(?)で書かれた書物をジーン・ウルフが訳した体裁となっているのに、さらにタロス博士の劇の台本が挿入されていたり、その他にも読者を夢幻の境地にいざなうしかけがあって、もう翻弄されっぱなし。セヴェリアンのこの旅の目的すら、しばしば失念してしまう体たらく。いったん表舞台から姿を消したキャラクターが再登場したり、物語巧者のウルフの腕が冴え渡る。それにしてもセヴェリアン、女に節操なさすぎ(笑)。2012/07/26