ハヤカワ文庫
ユービック:スクリーンプレイ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150114411
  • NDC分類 932
  • Cコード C0197

内容説明

あらゆるものが退行し朽ち果てていく。この世界はいったい!?―ディックが終生追い求めた“現実とは?”というテーマを突き詰めた60年代の傑作『ユービック』。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と並んで代表作に数えられるこの作品を、作者自身が再解釈を加えてシナリオ化。細部から結末にいたるまで加筆・修正が行われ、生まれ変わった“もうひとつの『ユービック』”、ついに刊行。

著者等紹介

浅倉久志[アサクラヒサシ]
1930年生、1950年大阪外国語大学卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

106
映画化に伴い原作小説を脚本に再構築。形式の特質もあってそれぞれの登場人物に対する移入度が上がり、「現実」の多様性、ひいてはこれが現実感覚の衰退ではなく別の現実体験のドラマであることをより鮮やかに提示出来ている。そして、著者自身が神経症を患ったために人物の短所に対しても温かな眼差しが感じられる。また、エンペドクレスら古代ギリシャ哲学との類似性を指摘されたことも大いに刺激になったようだ。原作から飛躍したエンディングも読みどころで、エントロピー増大による衰微や冷却を超越するものへのロマンが一味違った余韻を残す。2024/03/28

催涙雨

49
スプレー缶の画像が差し込まれる表現はうまくすれば面白いものになりそう。頻度がやけに多く、そのために長めの文章を読ませる機会が増えてしまうことなどから効果的にシーンをつくるハードルが高そうなイメージではあるが。ディック特有のトリップ気味な退廃的世界観と視聴者を心地よく揺さぶるサイケデリックな演出を両立させるためにも個人的には完全な実写ではなくスキャナー・ダークリーのような作風か、いっそ完全なアニメ映画にしてもいいような印象を受けた脚本でした。少なくともこの脚本で映画化されることはもうないのだろうけど。2021/02/28

藤月はな(灯れ松明の火)

45
早川文庫の復刊版を予約した筈が届いたのはシナリオ版でした^^;時間退行によって知らない内に朽ち果てていく仲間たち。自分が死んでいるのか、生きているのかが証明できない「シュレディンガーの猫」状態とデカルトのパラドックス(「我思う、故に我あり」)に認識していた現実すらも疑わしくなってしまう。そんな不可解な出来事よりも所々に挟まれる「ユービック」の広告の方が不気味過ぎて怖い。明らかに疑わしいユービックをなぜ、様々なことに使うのか。効果を疑いながらもなぜ、手放せないのか。その疑問が解けるラストが衝撃的すぎます。2014/08/13

けいちゃっぷ

5
『ユービック』の映画用脚本(映画化はお流れ)。これを読むなら先に原作の『ユービック』を。『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』と並ぶディックの傑作です2008/01/01

S‐tora

4
◎ 脚本版を借りてしまった・・・ 死人と話すことができるという不思議な世界と、SFの記号的道具立てがいいバランスで面白かったが、原版の方が面白いらしいので、探してみよう。2016/09/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1535
  • ご注意事項

最近チェックした商品