内容説明
記憶や人格などの情報をコンピュータに“ダウンロード”することが可能となった21世紀なかば、ソフトウェア化された意識、“コピー”になった富豪たちは、コンピュータが止まらないかぎり死なない存在として、世界を支配していた。その“コピー”たちに、たとえ宇宙が終わろうと永遠に存在しつづけられる方法があると提案する男が現われた…電脳空間の驚異と無限の可能性を描く、キャンベル記念賞、ディトマー賞受賞作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
48
英米哲学には「あなたの思考回路までも再現した、意志のあるクローンを作って拷問します。その代り、あなた自身は痛みを味わわずに大金を手に入れます。それにあなたはどういう論理でどのような決断しますか?」という問いがある。それに対し、多くの人は別個体であるが自分でもあるクローンを同一視してしまい、抵抗を覚えるという。3Dプリンターで将来は本物の臓器も作れるかもしれなくなった現在で人格やその個体をコピーして拷問するという設定が現実味を帯びて怖いです。特にダラムのキイキイ声はなぜかまど☆マギのキュゥべえで脳内再生です2014/10/01
亮人
24
十年ぶりくらいの再読。今回は全てを理解するくらいの読書をしようと意気込んでいる。十年前には理解できてなかったところも、今回は分かったり自分の成長も感じた。塵理論もばっちこーい!再読なのに、上巻のラストの一文で飛び上がるくらいビックリしたwその勢いのまま下巻へ向かいます!2016/05/27
葵衣
20
人格や記憶をそのままコンピュータにスキャンし、コンピュータの中で“意識”を持ち、生きることが可能となった近未来世界。もうこの設定からして、わくわくする。電脳世界、現実世界でのそれぞれの出来事が進行していく中で、このソフトウェア化された意識〈コピー〉に関する壮大な計画の行方にもさらにわくわくし、これから話がどのように転がっていくのかとても気になる。科学的な言葉にはあまり詳しくないので頭をフル回転させながら読んだけれど、それでも面白く充実感がある。下巻も楽しみ。2016/07/22
Small World
20
前から読みたかったグレッグ・イーガンに挑戦しました。w 物語の状況が飲み込めず、なかなか苦労しますが、ネット内のコピーたちの主観時間が、使える容量によって処理時間が異なっているとか、サイバーパンク後のリアルな事情が感じられて面白かったです。2016/01/30
はなよ
17
「ディアスポラ」に数ページで撃沈されてからイーガンは敬遠していたものの、この小説はそれなりに読みやすい事から完読できた。しかし、凄い気になる所で上巻が終わってしまったのでモヤモヤする。上巻の範囲では世界の成り立ちがまったく予想もつかない。こういう展開が全く読めない小説はいい小説だと思う。2020/04/26