感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
14
商売に失敗して尾羽打ち枯らした若い電子技術者が、大富豪の娘に札束で顔をひっぱたかれて冒険に参加し、そこで恐るべき謎と怪物に出会う、というのが表面的なお話。むろんその富豪の娘と恋仲になるのはお約束。しかしこのお話はそんな安直なレベルではない。ファーストコンタクトに至らなかった異星人との出会いなのですが、全く理解し得ないものとどう共存すべきなのかという深遠なテーマも隠された、1961年に発表されたとんでもないSFです。さすがラインスター。 ──野田節に至らない真面目な野田昌宏翻訳なのがありがたいところ。(笑)2019/04/20
ニミッツクラス
1
70年の初版(200円)を読んだ。訳者野田元帥が翻訳と自身の小説執筆の慣らしが終わって調子が出てきた頃の作品だ。カバーと口絵で直接的なネタは割れてしまうが、本書の主旨はもっと深い処にある。生存環境を異にする異星人と邂逅した場合、相手の縄張りは必要ないから棲み分けは可能だろうし、少なくとも通商はできるだろう。ファースト・コンタクトの端緒がいかに難しいかを海洋サスペンス風の出来事の裏面に描写している。探査船エスペランス号と才能を買われて乗り合わせる事になった電子技術者テリーの冒険譚。★★★★☆☆2013/07/20
Empirestar
1
ラインスターの作品は中軸となるSF的アイディアが面白い上に、使われてるガジェットが割と当時の技術レベルから考えられる最高の技術を用いた最適な対応を取るものが多くて、今まで読んできたSFホラーもの(ギズモとか)でははずれがない感がある。2008/08/10