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出版社内容情報
20年前、妹が誘拐されて以来、刑事チェルシーは誘拐事件を憎んでいた。ある日、2年前に誘拐された少女エリーが帰ってくる。さらに一緒にさらわれた少女の死体が発見された。だが、エリーは事件について何も語らない。彼女はただの被害者なのか、それとも?
内容説明
ワシントン州の海岸沿いの町。そこに隣接する森で、二年前に姿を消した少女エリー・ブラックがシャツに血の染みをつけた状態で発見された。行方不明当時に捜査を行っていた警察官チェルシーは、エリーの事情聴取を行うことになる。だが、少女は自分が行方不明になったことについて語らず、何かを隠すように沈黙を貫いていた。捜査を進めていくうちに、エリーが誘拐されたこと、そして彼女の着ているシャツが死体となり見つかった別の少女の持ち物だと判明する。エリーは何を隠しているのか。驚愕のサスペンス小説。
著者等紹介
ジーン,エミコ[ジーン,エミコ] [Jean,Emiko]
ワシントン州シアトル在住の作家。作家業の傍ら、小学校で算数を教えていた。2015年にWe’ll Never Be Apartで作家デビュー
北綾子[キタアヤコ]
日本女子大学大学院文学研究科修了。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
81
アメリカでは18歳以下の子どもが1年間に行方不明となる案件が約36万件という。日本もいずれそれを追う形になるのだろうか。この作品には何人もの行方不明者が登場する。物語は2年前に17歳で行方不明となったエリーが、突如見つかったことから始まる。担当するのは女性警察官のチェルシー、彼女自身も身内が事件に巻き込まれた過去がある。多くを語らないエリーの衣服についているのは誰の血なのか。なぜ沈黙するのか。後半になるにつれ明らかになる実態は想像するだけで悪夢を見そうになる。かなり衝撃的だが作品としては面白かった。2025/05/16
しゃお
31
2年前に行方不明になった少女エリーが保護される。何者かに監禁、虐待されてきたと思しきエリーですが、監禁されていた2年間についてはなかなか口を開こうとせず。担当する警官のチェルシーもまた姉を行方不明で失った過去が。その時の悔恨や正義感もあり、事件を解決しようとするその心情も丁寧に描かれています。ラストは思いがけない真実に驚きました。しかし何より心に残ったのは「娘を守ることに時間をかけるより、もっと息子を気にかけるべきではないだろうか」云々。ほんと、それな!2025/06/22
み
22
先が気になり一気読み。でしたが、結末が、唐突な感じでした。ちと、モヤモヤして残念なり。2025/08/03
練りようかん
16
2年前行方不明届が出されていた少女が姿を現した。トラウマケアと聴取の対応に当たる主人公もまた姉が失踪した経験を持ち気の入りようは十分。その現在と拉致監禁の過去を交えて展開。過去パートが怖ろしく、現在パートの家族・夫婦間に流れる微妙な緊張感はその上をいき、発見時の服など少女に対する違和感は拭えない、怖い嫌な予感にまみれた世界観が特長的だった。中盤には背後関係に大きな謎が投入され、ぐっと不信の匂いは濃くなる。終盤は伏線回収の連続で本来ならスッキリとなるはずがより淀む印象。ブラック好きなら良しの顛末だと思った。2025/08/18
凸凹パレード
14
「…マスコミに問いたい。世界に訴えたい。いつになったら満足するのか?社会はいかにして男の手によって女性たちが殺される現実を受け入れるのか」著者は言う。誘拐事件の被害者への批難について、それがどのようにして生まれて、誰が得をするものなのかしっかり考えてほしい、と。責められるべきは事件を起こした犯人で、決して被害者ではない、と。毎年六十万人が行方不明になるというアメリカの、行方不明当事者の骨太ミステリ小説。2025/06/23