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出版社内容情報
「密室を抜け出す方法としては、完全に新機軸のものだと思うんだ」アメリカ探偵作家クラブの月例会の席上、現代最高の密室派ミステリ作家ワゴナーからそう話しかけられた駆け出し作家のマニックスは、そのことをすっかり忘れていた。新聞で、ワゴナーの他殺死体が発見されたという記事を見るまでは。現場は完全な密室で、しかもデスクに向かったままの死体には、首がなかった。現場の状況がワゴナーの考案した最後のトリックと同じであることに気づいたマニックスは、密室のアイデアを頂戴すべく勇んで駆けつけるが……ミステリ業界をネタにしたロバート・アーサーの上記表題作をはじめ、コーネル・ウールリッチ、クレイグ・ライス、クリスチアナ・ブランドらの傑作ぞろい。
【収録作品】うぶな心が張り裂ける(クレイグ・ライス)/燕京綺譚(ヘレン・マクロイ)/魔の森の家(カーター・ディクスン)/百万に一つの偶然(ロイ・ヴィカーズ)/少年の意志(Q・パトリック)/51番目の密室(ロバート・アーサー)/燈台(E・A・ポー&R・ブロック)/一滴の血(コーネル・ウールリッチ)/アスコット・タイ事件(ロバート・L・フィッシュ)/選ばれた者(リース・デイヴィス)/長方形の部屋(エドワード・D・ホック)/ジェミニイ・クリケット事件(クリスチアナ・ブランド)/〈座談会〉短篇の魅力について(石川喬司、稲葉明雄、小鷹信光)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
72
鍵の掛かった部屋、衆人環視の中など、密室の定義は様々だ。しかし、密室は本当は密室じゃない。だけどその盲点に気づかないからこそ、密室は成立できる。表題作は有栖川有栖氏の『46番目の密室』に影響を与えたんだなと思うと感慨深い。マクロイ、ディクソン、ブランドは既読。「うぶな心が張り裂ける」はマローイ同様、現実の冷たさに切なくならずにはいられない。「少年の意志」は強かな『ヴェニスに死す』のような雰囲気。『選ばれた者』のヒステリックな女性の書き方と殺害に至るまでの経緯に身震いし『長方形の部屋』はそうした理由に共感。2016/08/10
ちどり
22
クレイグ・ライス「うぶな心が張り裂ける」カーター・ディクスン「魔の森の家」コーネル・ウールリッチ「一滴の血」クリスチアナ・ブランド「ジェミニイ・クリケット事件」ロバート・アーサー「51番目の密室」うっとりするほどの良作でしたぁ,,,,2014/10/19
那由多
20
12篇中3篇が『有栖川有栖の密室大図鑑』で取り上げられてます。私は『ジェミニイ・クリケット事件』『魔の森の家』『少年の意志』の順で良かった。特に『ジェミニイー』はダントツで、ツイストの利かせ方で圧倒的良作。『燈台』もゴシックホラーな雰囲気が堪らなく良かったのだが、ブロック氏の補完は余計だった。2019/07/31
雪紫
18
有栖川さんの密室大図鑑で紹介された短編がいくつも! 海外の傑作短編ミステリがかなり詰め込まれて堪能させていただきました。表題作はかなり好きだけどマニックスやっちゃったなー感が。有名な「魔の森の家」や「ジェミニイ・クリケット~」も物語の雰囲気や何が起こるのか的な意味でもたまらなかったし、ラストの一文が良く聞いています。上記3作以外で印象に残るのは「少年の意思」と「選ばれた者」。2019/06/03
タリホー
11
海外のミステリ短編集『37の短篇』から選ばれた12作品を収録。『有栖川有栖の密室大図鑑』で紹介された表題作ほか、倒叙モノ「百万に一つの偶然」「一滴の血」や怪奇性の高い「燈台」など推理モノ以外のジャンルも取り入れられ、バラエティに富んでいる。「ジェミニイ・クリケット事件」は創元推理文庫の『招かれざる客たちのビュッフェ』でも読めるが、本作は改稿前のものであり、創元版とは内容が少し異なっているので読み比べたが、改稿前の本作の方が読者に分かり易いオチになっていたと思う。2017/08/13
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