出版社内容情報
旧ソ連国家の独立運動、ミャンマーの民主化運動、そして「アラブの春」から香港雨傘運動まで。巨大な権力と戦う人々の傍らには、常に一冊の本があった。「非暴力闘争」による権力打倒のために書かれた名著を通して、理念先行の戦略なき平和論から脱却し、民主主義や自由の真価を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
21
録画を見ながらようやく読了。第4回放送では中見さんの日本政府批判が目を引いた。ワールドカップで日本が破れたコスタリカについて、平和憲法のもと軍隊をもたない国として紹介しつつ、タナボタの平和憲法の国ではコスタリカの足元にも及ばないと。しかも専守防衛のような他国に不安をあたえる方針を打ち出せば必ず日本の不安となって跳ね返ってくるときっぱりと語っていた。。万が一日本に独裁体制が出現したとしても、今の日本人には非武装闘争などできないだろうと思う。2023/04/12
はるき
19
番組からテキストへ。対岸の火事ではなく、自分事として考える重要さ。平和ボケできる幸せを噛み締めつつ、微妙な均衡の上にあることを自覚したい。2023/02/16
アーサー
17
通読。原著読む◆解説者は中見真理さん。専門は国際関係思想◆個人的には、対象がなんであれ武力で攻撃することには反対。そんな考えは甘い、平和ボケだという意見もあると思う。しかし、シャープの理論とその実践の結果は非暴力は暴力に勝る可能性を示している◆エリカ・チェノウェス、マリア・ステファンの『Why Civil Resistance Works』によると、過去の抵抗運動の成功率は、非暴力抵抗で53%(分母=323)、暴力抵抗で26%(分母=71)という。成功とは、政府を打倒or抑圧者から領土を解放すること。2023/03/01
やまはるか
17
「百分で名著」のテキスト。「独裁体制から民主主義へ」はジーン・シャープ(米)がミヤンマーの民主化運動のために1996年に執筆した。非暴力を武器とする戦略的非暴力闘争によって独裁体制を打倒し民主体制を打ち立てようとするもの。非暴力行動の方法として198の項目を掲げて具体的な手法を示している。シャープの手法はセルビア、リトアニアなどで独裁体制打倒に生かされた。多くの成功から独裁体制側にも研究され、逆に利用されることも増えたという。非暴力の方法にも改変が求められている。空論でなく実践的であることに大きな価値が2023/01/20
GELC
16
独裁体制の力の源は実は民衆の側から提供されているのであり、だからこそ不服従という手段が有効であるという考えにはものすごく説得力を感じた。また、暴力に訴える手段は、独裁体制の得意舞台で勝ち目が薄い方法ということも納得。それを実現するためにも、大部分の人も取り組めるハードルの低い方法が示されていることも素晴らしい。ただし、それでも尚、非暴力を貫くのは勇気が必要な行動だと感じる。日常でも色々なレベルで抑圧を感じることがあるが、対処方法を考える時に参考にできるように番組でも勉強したい。2023/01/06