内容説明
「知らないでいる不安」と「知ってしまう恐怖」の狭間で。先天異常の出生前診断、家族性腫瘍や神経難病の発症前遺伝子診断…。遺伝医療の現場でいま問われているのが、遺伝の問題に直面するクライエントの「こころのケア」。緒についたばかりの遺伝医療における心理臨床。その実践に携わる著者が、悩み、戸惑い、怒り、泣くクライエントの声を最前線からレポートする。
目次
第1章 遺伝医療に心理士としてかかわる
第2章 出生前診断を演じてみたら
第3章 障害児の親になっていくということ
第4章 がんとの闘い、遺伝との闘い―家族性腫瘍のケースから
第5章 「知らないでいる不安」と「知ってしまう恐怖」―神経難病の発症前遺伝子診断をめぐって
遺伝学的検査に関するガイドライン
著者等紹介
玉井真理子[タマイマリコ]
1960年生まれ。東北大学教育学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。保健学博士。信州大学医学部保健学科助教授。信州大学医学部附属病院遺伝子診療部のスタッフを兼任。専門は心理学・生命倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぴょんぴょん
9
あとがきの言葉が印象的でした。「心理士だからといって、人のこころがよくわかるわけではない。むしろ、人のこころがいかにわからないものであるかということを、どれだけ体験的に知っているか、そのわからなさに対してどれだけ謙虚になれるかが専門性の一部」。2013/02/13
きゅー
5
いまでは出生前診断で胎児の染色体異常を事前に調べることができる。特に親が遺伝性疾患の保因者である場合、生まれる子どものことを知っておきたいということもあるだろう。しかしそこで障害が分かったとき、次はその子を産むかどうかという選択肢に直面する。その選択肢に正解はない。著者は遺伝外来に勤める臨床心理士として、そうした人たちへの情報提供とセルフケアをサポートしている。どれも言葉にしがたいエピソードばかり。あり得なかったもう一つの未来を知ることはできない。心が重たくなる。2024/04/16
fieldh
2
仕事上、ダウン症の子供さんなどの手術をすることも多く、ご両親の気持ちなどをいろいろ考えていたのでこういった本を読もうと思っていた。いろいろな具体的事例について専門的な部分も含めつつ気持ちをこめて語っておられ、非常に良かった。心にぐっとくるものがあった。自分自身の気持ちをある程度整理するのにも役立った。これからも何度か読むことになるだろう。2012/07/02
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