内容説明
彼岸への旅立ち――帰り道なきその船出に際し、心の旅支度が完全に出来て逝く者がどれほどあろうか。死を予期していても恐怖と未練を洗い流し、心の整理をつけることは難しい。ましてや突然の事故・災害で否応なく旅立った者たちの無念さは計り知れない。残していった者への情愛、そして恨み……此岸を離れてもきつく小指に巻き付いた執着の糸はどこまで行っても切れることはない。この糸が切れるまでは、死んでも死にきれない。けして浮かばれないのだ。無念の炎に抱かれた死者の魂はこの世に舞い戻り、生者に強烈なメッセージを送ってくる。恨みをはらそうとする恐怖の怪現象、愛するものへの吉作用の不思議現象。そして時には、彼らが果たせなかった何かがを遂行してほしいという「依頼」が届くこともある。これはそんな死者からの戦慄の頼み事である……。 数人の怪談ライターの下を渡り歩いた超曰くつきの怪談がついに加藤一の手で成仏する。衝撃戦慄の長編実話怪談『位牌の遺言』収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まあちゃん
17
おばあさんが残した土地。家を建てずにおじいさんの施設入所のために使えとの遺言を破り、家を建てる息子夫婦。完成した家の壁から、なぜかおばあさんの位牌が何度も出てくる。勝手に仏壇から消えて、壁の中に入るのだ。そんなことが可能なんだねー。不思議だ。あの世からこの世の人に、伝えたいことを強烈に伝えてくる話が多い。2018/05/09
HANA
11
御巣鷹山、戦争と日本にとって忘れられない大事件と関わった怪談ということで他の実話怪談とは一線を画している。ただ両者とも恐怖を追求する形ではなく、ちょっといい話になってしまっているが。それでも後半は普通の実話怪談に戻っており、長編の遺託も普通の出来であった。2011/06/04
☆kubo
5
表紙ほど怖くはない(笑)ラストはかなり気合いの入ったお婆さんの話。現世にどんだけ関われるのか、すごい意志の力だと思った。2012/09/19
澤水月
5
これまでの加藤一氏の著書で断トツ! 日本中が哀しみを共有したあの夏の大事故から始め、封印された人々の記憶を丁寧に辿り、この2011年に我々が置かれている環境に思いを馳せさせる構成が見事、いつもより校正推敲もきちんとなされている感じ。311は実話怪談界にも大きな変革をもたらすのかもしれないと思わされた2011/06/02
王天上
4
当たりが柔らかい話が多く、引っ掛かりを感じないまま読了。不思議系が好みなのだが、それでももう少しパンチがきいていてほしい。2015/08/28
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