内容説明
ゴルバチョフの登場から超大国ソ連の消滅まで、世界の構造を大きく変えた歴史の変遷を、最も至近距離から取材した元モスクワ特派員の珠玉のジャーナリスティック・エッセイ。混乱の中に底知れぬ安定があり、表面の粗野な行動の裏に優雅さが隠されている懐の深い国の真髄に迫る。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作のライブラリー化。
目次
裏切られた期待(プロローグ 裏切られた期待;フルシチョフの寂しい葬儀 ほか)
それはパンスト論議から始まった(社会が変わり始めた;それはパンスト論議から始まった ほか)
言論を開き、言論に倒れる(ウォッカに破れたクーデター;首席補佐官が警告したクーデター ほか)
ソルジェニーツィンへの冷笑(ベールを脱ぐ戦利品;日本外交官の“表敬” ほか)
エルミタージュの緞帳(建築と宗教;愛国心とチャイコフスキー・コンクール ほか)
著者等紹介
小林和男[コバヤシカズオ]
1940年長野県生まれ。62年、東京外国語大学ロシア語学科卒、NHKへ。70~72年に特派員、84~87年と89~95年に支局長としてモスクワに駐在。「菊池寛賞」、「モスクワ・ジャーナリスト同盟賞」受賞。現在、NHK解説委員、作新学院大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeakisky
1
その時、その場所にいた人にしか分からないことがある。それぞれのエピソードを興味深く読んだ。 ニュース報道は、性質上どうしても単純化され一面的になってしまうものです。その上で、こういった本によって奥行きが出て多面的に物事を把握する手助けになります。 著者は、テレビで拝見している限りでは、非常に理知的で落ち着いた方という印象(おしゃれで茶目っ気もありそうに思っていた)だったが、電話で怒鳴ったりなかなかの熱血漢ぶりで面白い。昔は電話機にも、感情をぶつけられるだけの重さと存在感がありました。2021/09/30
メデスキ
0
ゴシップのような本当にあった腐敗を書き留めているのが宜しいんじゃないかと。ソ連、ロシアってか、露助ってのが何なのかよく解かる。
ちるちる
0
ステレオタイプなものの見方を打破するには、自分で体験して考える力が必要だと思った。語学ってそのためにも有利な武器だと思う。2010/11/01
れいまん
0
本の整理の為久しぶりに再読。なのにまた感動が蘇りました。わたくしは2001年にこの本読んで2005年にロシアに旅行しました。当時の団体旅行でしたが運良く、エルミタージュの緞帳を見ることが出来ました。トレチャコフ美術館にも行けて感無量でした、。改めて読み返すと感動ポイントが変わります。ロシアの大作家ソルジェニーチェンがソ連崩壊後、ロシアに戻り、すっかり金の亡者になってしまった悲しみなど、ソ連崩壊を外側から見た本書と内側から書いている「国家の罠」の佐藤優氏との対談などあれば嬉しいのだけど!2021/05/22