動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド

グランディン，テンプル〈Ｇｒａｎｄｉｎ，Ｔｅｍｐｌｅ〉/ジョンソン，キャサリン【著】〈Ｊｏｈｎｓｏｎ，Ｃａｔｈｅｒｉｎｅ〉/中尾 ゆかり【訳】

ＮＨＫ出版（2011/12発売）

• サイズ B6判／ページ数 363p／高さ 20cm
• 商品コード 9784140815151
• NDC分類 481.78
• Cコード C0045

内容説明

動物と人間の共生関係は、いま新しい時代を迎えている。犬に必要なのは、たんなるリーダーではない？猫のほんとうの喜びとは？神業のようなホースウィスパラーの秘密とはどんなものか？人間は動物たちに「身体的な幸せ」より、ワンランク上の「精神的な幸せ」を与えることができる。そのために重要な４つの情動システム（探索・怒り・恐怖・パニック）をわかりやすく解説。

目次

１　動物の幸せ
２　犬
３　猫
４　野生の動物
５　動物園
６　馬
７　牛
８　豚
９　ニワトリ

著者等紹介

グランディン，テンプル［グランディン，テンプル］［Ｇｒａｎｄｉｎ，Ｔｅｍｐｌｅ］
１９４７年ボストン生まれ。自閉症の動物学者。コロラド州立大学教授。グランディン・ライヴストック・ハンドリング・システムズ社経営。自閉症の啓蒙活動と、家畜の権利保護について世界的な影響力のある学者のひとり。アメリカのファストフードの指定業者と提携し、世界中の動物施設の状況を監査する。また、動物科学と自閉症について数多くの講演を行い、自閉症の人々とその家族の模範となっている

ジョンソン，キャサリン［ジョンソン，キャサリン］［Ｊｏｈｎｓｏｎ，Ｃａｔｈｅｒｉｎｅ］
脳と神経精神病学を専門とする著述家。全米自閉症研究連盟会理事を７年間務め、退任後まもなくテンプル・グランディンとともに『動物感覚』を執筆。３人の息子のうちふたりが自閉症。夫と子どもたちとともにニューヨーク州アーヴィントンに在住

中尾ゆかり［ナカオユカリ］
西南学院大学文学部卒業、翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ででちゃん]

動物に対する配慮が、上からではなく、読んでいて気分が良かった。　もの言わぬ相手には、こちらも一歩退いて客観性を介在させて付き合いたいと思った。　

2015/04/13

[プル]

動物のおかげでヒトは人らしく、人として生きられる。食材・食品を届ける業者がどうあるべきかも提示されている。各種動物には捕食種か否かによって行動や恐怖のポイントがあるのを著者は理解した上で、家畜の管理を提供している学者である。家畜も楽しませてもらいたいよね。犬、猫、日本ではメジャーではないヤギの種類、馬、牛、豚、鶏と幅広く興味持ってその動物の楽しい事を知る事ができる。ご本人は自閉症と公開している事でも、自閉症の家族とその周囲の方々にも社会貢献している方です。色々な方に読んできただきたい。

2017/10/13

[トムトム]

全ての生き物、死ぬのは当たり前。苦痛や不快、恐怖は大嫌い。死ぬのが嫌だとは考えない。苦痛なくぽっくり死ねたら、幸せ。だからジョンFケネディ氏の死に方は幸せ？動物と仲良くしたかったら、相手が嫌だと言っていることはやっちゃダメ。私が触ろうとする・動物が嫌がる・嫌ならやめる。これを繰り返すと、動物は「嫌だって言えばやめてくれる人だ」と、ちょっとだけ触らせてくれるようになる。たまに嫌がるのを押さえつけて無理やり触ろうとする人いるけど、ナンセンスよね。これは人間も一緒。仲良くしたいなら、嫌な事はしちゃだめ。

2019/08/02

[またの名]

ボタンを押すとチェーンに電流が流れて豚を誘導する精肉工場のやり方に、監査のため来た著者は不合格を告げ「あの電気のガラクタを全部外して捨てなければマクドナルドと取引不可」と牽制。自閉症当事者としても知られるグランディンは数学的思考には弱いが具体的イメージで考えることに強いタイプを自認し、愛玩から食用まで人が取り扱う動物の情動にもっと配慮すべき理由を示す。抽象的な議論だけが極まって、動物が普段暮らす野外でなく実験室での行動をもとに知能が人間より低いと判定する愚を非難し、物足りなくなるほど終始具体的状況で議論。

2018/03/28

[ゆき]

【読もうと思った動機】私の実家はずっと色んな動物達を飼ってきた。だけど、幸せにしてあげれたかというと疑問が残る。【読んだ感想】これは良書である。自閉症である動物学者の著者は、動物たちが肉体的だけでなく精神的に幸せな状態であることを説明してくれる。彼のような優秀で優しい人が、大手のマクドナルド社のような会社で動物福祉のために養鶏場や屠殺場の監査にあたることはとてもいいことだ。動物愛護団体と飼育業者は真っ向から対立するがこれはよくない。犬や猫、馬に限らず人間の為に生育される動物の幸せのためにも書かれている。

2013/02/01