出版社内容情報
「竹取翁」「花咲爺」「かちかち山」などの有名な昔話(口承文芸)を取り上げ、『今昔物語集』をはじめとする説話文学との相違から、その特徴を考察。丹念な比較で昔話の宗教的起源や文学性を明らかにする。
内容説明
長い時代を生き続けた昔話には、祖先の自然観や生活理想が表れているのではないか―。「竹取翁」「花咲爺」「猿地蔵」などの、日本各地に語り継がれる昔話と、書物に残された説話文学や物語との関係を考察。昔話の意義や文学の定義を斬新な手法で明らかにする。
目次
竹取翁
竹伐爺
花咲爺
猿地蔵
かちかち山
藁しべ長者と蜂
うつぼ舟の王女
蛤女房・魚女房
笛吹き聟
笑われ聟
はてなし話
放送二題
著者等紹介
柳田国男[ヤナギタクニオ]
1875年、兵庫生まれ。1900年、東京帝国大学法科大学卒。農商務省に入り、法制局参事官、貴族院書記官長などを歴任。35年、民間伝承の会(のち日本民俗学会)を創始し、雑誌「民間伝承」を刊行、日本民俗学の独自の立場を確立。51年、文化勲章受章。62年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
交流困難な地域の分散にもかかわらず「偶然とは言えない一致」を各物語に見出す著者は、それらを差異の構造としての物語のバージョンと見なすことはない。著者は地域性の希薄な昔話を中心に、「一致」する諸要素から日本固有の自然観や生活習慣の抽出に向かう。この傾向は「梵天国」と「竹取物語」の比較を文学性の優劣で比較し、笑話を昔話の「零落」と捉える著者自身の文学ジャンル間に設けた優劣の反映として表れる。一方、イタリア民話との比較やフレイザー、アールネらの分類を参照する本書は、物語を国際的視野で捉える可能性も垣間見せる。2025/02/17
らむだ
2
竹取翁、竹伐爺、花咲爺、猿地蔵、かちかち山、藁しべ長者と蜂、うつぼ舟の王女、蛤女房・魚女房、笛吹き聟、笑われ聟、はてなし話、放送二題2023/11/20
れどれ
2
昔話の類似を国内のみならず諸外国の伝承までひっくるめて比較検討してくれるのは興味深かった。定型にパッケージングされた作品ではなく、口承により変化していく生きものとしての昔話だからこそ特異な意味をもつ比較。ほんとに意味あんのかと訝りたくもなるが、そこへたしかな意味をもたせる文章に魅了された。2020/04/26
ダージリン
2
昔話がどの様に語られてきたかが説かれる。昔話も元を辿れば神話へ到るということで、神話との関連は特に興味深い。また、諸国を遍歴したという芸能民が、各地に物語を広げる上で果たした役割にも関心が向く。私の故郷も、以前の勤務地も、瞽女が多かった地だと聞いており、芸能民には関心があるのだが、この辺りも今後知ることが出来ればと思う。2018/05/05
ユメ
2
昔話と文学の関係性の考証。一例となっている『竹取物語』を見ても、最古の説話文学などと言われているものの、古来より各地に伝わる竹取翁の昔話や羽衣説話、富士山信仰をベースとしており、作者自身の技巧が凝らされているのは話の本筋に影響を与えないごく一部にすぎない。現在所謂「昔話」として伝えられている説話文学は、口承文芸を文字で一つの形に縛ったものであり、代々語り継がれてきた昔話は幾つかの説話が統合されたり、聴衆に迎合していったりと、常に形を変えていくものなのである。目から鱗でつい興味深く読み耽ってしまった。2014/03/08
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