出版社内容情報
証言と新資料から見えてきた真実。
基地問題を考える上で必読の書
沖縄への基地集中が始まったのは1950年代後半。もとは本土にあった米軍基地がなぜ沖縄に集中していったのか。これまで発言を控えてきた沖縄の軍用地主や日米政府関係者の証言と新資料からその真相を明らかにする。また米軍の「抑止力」の実態、地元の人々が語る基地経済の虚実、「トモダチ作戦」の波紋についても詳述。
内容説明
本土から沖縄へ。軍用地主と交渉担当者が語る、基地移転・集中の真相とは。
目次
序章 なぜ沖縄なのか、という問い
第1章 基地集中の原点―一九五〇年代‐六〇年代(戦後、沖縄にはいなかった海兵隊;半世紀前の辺野古の選択;日本政府の黙認)
第2章 固定化―一九七〇年代‐八〇年代(進む本土の基地整理縮小;沖縄返還と軍用地契約;軍用地主の“葛藤”)
第3章 海兵隊「抑止力」の内実(海兵隊の中枢へ;変貌する海兵隊;沖縄の海兵隊)
第4章 期待と裏切り、そして迷走へ―一九九〇年代‐現在(再び「移設先」となった名護;鳩山政権の迷走;「沖縄問題」とは何か;半世紀後、辺野古の再びの選択;アメリカの本心はどこにあるか;知事選、そして―)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Riopapa
8
鳩山由紀夫が開けてしまったパンドラの箱。沖縄の人たちが置かれている複雑な事情が少し理解できた気がする。 2015/05/17
coolflat
7
米軍の日本本土からの撤退を促進することで、日本政府に自衛隊の創設を急がせるということ、日本本土に陸上兵力が駐留し続ければ、敵である占領軍として見られ、日本国民との間に良好な関係を築く妨げになること、沖縄の方が土地の賃貸料が安く、本土に駐留させるよりも費用対効果が高かったことが、米軍が沖縄に移駐された理由である。何度も繰り返し述べられた地理的重要性ではなく、日本の一般市民から米軍を隔離することが重要であり、そのためには沖縄が一番やりやすかったということである。詰まるところ、沖縄の基地問題の本質は差別である。2014/01/07
大泉宗一郎
6
民主党・鳩山政権時における沖縄基地問題のNHK報道特集のテキスト。他のドキュメントと決定的に異なる点は、現役の米軍関係者への公式インタビューに成功し、なおかつ当事者から”鋭い”と形容されるほどに踏み込んだ質問も投げかけている点だろう。米軍基地が沖縄にある理由は地理的優位性ではなく本土よりも賃貸料が安いからという身も蓋もない元米軍関係者の証言や、沖縄返還の際に日本政府が米軍基地を沖縄に引き留めた外交文書の再提示などの事実に対する制作者らの戸惑いも本書は隠さず描く。米軍側の意見も取り入れた客観性を貫く良書。2024/07/27
Rusty
4
表紙の絵にある、ヘリから海兵隊員が吊られて飛行していた訓練は、結局何だったのか明かされない。それだけ、基地の中のことや軍の運用は住民に説明されていないまま。基地はない方がいいと多くの人が思う。しかし、現実的ではないということで、条件付き容認を支持する人も多い。辺野古では賛成派・反対派以上に、自分の意見を表明したくない人が多いように書かれてある。それは、自分の周りの人が結局のところどう思っているか分からないから、自分が意見を述べることそのものが、将来禍根を残すことが怖いからではないだろうか。2017/02/13
凡人太郎
4
沖縄の基地問題の「本質」をよく確認することができました。 本土の住人は、あまりにも安全保障に浸りすぎており、沖縄の基地問題をなおざりにしているのでしょうか。 「本質」は「差別」なのかもしれません。 2012/12/01
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