内容説明
恋、母性、病、老い…女性ならではの濃やかな視線で、戦後から現在までを見通す。自身の肉体を削るようにして詠まれた珠玉の歌。前川佐美雄賞、斎藤茂吉短歌文学賞受賞後、初の評論集。
目次
第1章 恋こそ短歌の泉
第2章 母性の歌のエネルギー
第3章 家族への愛と葛藤
第4章 病と向き合う歌
第5章 みずからの老い、他者の老い
第6章 社会に生きる者として
第7章 食と住と仕事
第8章 旅は非日常への通路
第9章 東日本大震災を詠む
著者等紹介
栗木京子[クリキキョウコ]
昭和29(1954)年、名古屋市生まれ。京都大学在学中に短歌を作りはじめ、京大短歌会顧問であった高安国世に師事する。歌集に『夏のうしろ』(読売文学賞・若山牧水賞)、『けむり水晶』(迢空賞)、『水仙の章』(前川佐美雄賞、斎藤茂吉短歌文学賞受賞)など。読売新聞、西日本新聞、NHK学園友の会、「婦人公論」短歌欄などの選者を務める。現代歌人協会理事。「塔」短歌会選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
15
昭和20年代から平成後期までの女性歌人による短歌の選集。テーマ別にもなっていて、添えられている評論も教科書的に目配りが広い感じで、読みやすかった。けれど、同時に女性の人生を追う流れにもなっていて、わたしにとっては、女性の人生に起こりえるときに痛ましく辛い思いを追体験することでもあった。小説とはまた違う、この鋭さとイメージの喚起力が、短歌なのかな。面白かったです。2021/09/08
しなの
13
女性歌人の短歌ばかりのアンソロジー。特に、第一章恋こそ短歌の泉、第七章食と住と仕事がおもしろい。花もちて鉄扉のかげに待つときの少女めきたるわれを自嘲す(中城ふみこ) たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか(河野裕子) 逢はぬ恋遇ふ恋それも六十路にて逅はぬ恋みすこの黄昏よ(山中智恵子)2016/08/19
てくてく
9
女性による女性歌人の秀歌歌。恋から家族、仕事や震災とさまざまな項目で選ばれている。オーソドックスなところが良かった。2019/12/23
はち
8
あえて女性の歌に限定したアンソロジー。そのためかこの手のアンソロジーでは珍しい食事(料理)の項も設けられている。病気の項でも珍しい精神病に紙面が割かれている。戦後女性歌人はほぼフォローしているのではないだろうか。そして新しいアンソロジーゆえに、最終章では東日本大震災が語られる。最新のトピックを正面から扱うことに異論もあるだろうが(当然そこに置かれる歌は時の洗礼を受けていない新しいうたになる)これでいいんじゃないか、と思う。戦後から震災まで包括するにはこうするしかない。それを言い出したら若手(例えば大森静佳2015/04/01
はち
6
再読。女性歌人で振り返る現代短歌史。2016/03/07
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