内容説明
いま、われわれは第2次世界大戦後、最も重要な歴史の転換点に立っている。ペレストロイカに端を発し、いわゆる「ソ連型社会主義」を終焉させた大変革は、東西対立の構図を大きく塗りかえ、世界全体の秩序形成に新たな絵を描こうとしている。ベルリンの壁、ハンガリー動乱、プラハの春、といった数の事件は、どう位置づけ直されるのか。一党特裁はなぜ崩壊し、計画経済はどうして挫折したのか…。こうした問いは、「自由」「国家」「民主主義」「民族」など、人類の歴史上の大テーマをも包含することになる。ロシア革命から70年余、「社会主義」はいま、どこに向かおうとしているのか。本書は、各国別にその答えを求めて、今日の変動につながる社会主義100年の試行鎖誤の歴史を大胆に問い直し、20世紀の人類史を再検討しようとするものである。
目次
第1部 守護の壁・恥辱の壁―東ドイツ(国家の存亡を賭けた「壁」構築;東ドイツの崩壊)
第2部 反革命か民就蜂起か―ハンガリー(「’56動乱」の真実―“操られた歴史”の見直し;ハンガリーの社会主義―過去と現在)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nota
2
●一九九〇年九月二〇日 第一刷発行 ●【守護の壁;恥辱の壁[東ドイツ]】と 【反革命か民衆蜂起か[ハンガリー]】の2部からなる。「東ドイツ」の方だけ読んだ。 ●本書の冒頭は次の通り。「東欧の市民革命からまもなく一年が過ぎようとしている。(中略)NHKスペシャル「社会主義の20世紀」の企画がスタートしたのは、中国天安門事件の衝撃が走った昨年六月のことであった。」 ●本章はそのタイミングで描き出されたベルリンの壁についてのレポートであり、壁の物理的な構築方法や構築時の命令系統などが書かれている。2024/10/31
へたれのけい
2
「歴史を変えた329日」なるドイツ統一の内幕に挑み、哀れ、挫折。知ってる人名が殆ど無かったからなぁ(へっ、何とか挫折の言い訳してるぞ)。今回の本はジャーナリストの文で、しかも、日本人向けでした。そりゃ、読み易い。2015/06/20
哲
0
「社会主義とは何だったか」を自分自身の中で考えたくて手にとった。社会主義という言葉に付きまとう、ある種一方的なイメージ。ソ連や東欧では89年以来社会主義体制が崩壊し、西欧型民主主義を取り入れているが、社会主義が生まれた背景には何があったのか、当初の理想とは、そしてなぜ失敗したのか、さらには今現在の社会で、それを生かしていく道はあるのか。そういうことを考えている。それは世界の中の東洋、東洋の中の日本、日本の中の私、がとるべき道を模索する過程である。2010/07/11
muny
0
取材は読む価値があるが、共著の学者は下手。ウィキペディアのほうがまし。2021/07/10
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