出版社内容情報
友だち同士から国際政治まで,互いに異なる人たちがどうしたら一緒に暮らしていけるのか.各地で頻発するテロ事件,英国のEU離脱やトランプ大統領の誕生,そして日本社会や東アジアの行方.変わりゆく世界のなかで,政治の根本を考え抜く5つの講義.
「人と一緒にいる」のは素晴らしいことであると同時に,時としてつらいことでもあります.自分とまったく同じ人間は,世界のどこにもいません.当然,人と人には,いつも「違い」があります.「違い」があるからこそ,人と一緒にいることはおもしろいし,楽しいけれど,時には対立が起き,すれ違いが生じます.講義では,このような基本的感覚からスタートして,「政治」というものを考えてみようとしました.(「はじめに」より)
はじめに
第1講 変わりゆく世界と〈私〉
1 世界はお先真っ暗?
2 未来予測は,けっこう外れる
ジャパン・アズ・ナンバー・ワン幻想/あたることもあるけれど/フランシス・フクヤマの誤算/ネグリとハートの誤算
3 変わりゆく世界のイメージ
現代世界をどう見るか/先進国と新興国は近づいている/東南アジアが少子高齢化/世界は否応なくつながっていく/世界を全体として捉える/日本は世界の先進事例?/海外に行きたい? 国内にいたい?
4 隠れていた人々の声があらわに
トクヴィルの予言/〈私〉時代のデモクラシー/ブレクジットの実態/グローバリズムが導いたもの
5 対立がなくならないなら,どうすれば
市場経済と民主主義/資本主義と社会主義/大切なことは必ずしも両立しない/どこまでが政治か
第2講 働くこと,生きること
1 どこまで,何を政治にのぞむのか
人工知能の時代に働くということ/政府や政治は何をどこまですべきか?/長時間労働は当たり前なのか?
2 女性が活躍する社会ってどういうこと?
「女は家で家事をする」が日本の伝統?/会社の一員として働くか,仕事ごとに働くか/働き方は制度・政治の問題
3 民主主義と市場経済の間には
悲鳴をあげる民主主義/経済発展にともなう不平等を何とかしたい――マルクスの問題提起/最も恵まれない人の利益を最大化しよう!――ロールズの問題提起/運と選択/ロールズの主張,どう思う?
4 日本人は国に何を期待しているのか
日本人はわがまま?/払っても帰ってこない税金/中途半端な日本の仕組みをどうするか
第3講 人と一緒にいることの意味
1 教室内にある政治
友だち地獄?/教室内は特殊な空間
2 「弱いつながり」がブレイクスルーをもたらす?
政治は「強いつながり」の世界?
3 自由でありながら,人と一緒にいるには
悩んだ人,ルソー/過剰な人間不信が招いた大げんか/自由でありながら,人と一緒にいる方法とは
4 二〇〇年前から続く議論
「一般意思」なんて,本当にあるの?/「一般意思」はいじめの始まり?/理性の人,カント/社会の矛盾を必要とした,ヘーゲル/問題は,他人とどうつながるか/政治と感情/接続性の時代/しなやかさと引く知恵とコンパスを持って
第4講 選挙について考えてみよう
1 民主主義と多数決
多数決は正しいか?/数で決まらない大統領選挙/漁夫の利を生む選挙制度
2 出来がよくない集約ルール,選挙制度
ボルダ・ルールという決め方/中選挙区制vs小選挙区制/制度改革はまだまだ途上/多数代表制vs比例代表制
3 もっと選挙制度について考えよう
日本の民主主義はエピソード合戦?/フランスの二回投票制/選挙制度の可能性/分人民主主義?
4 想像力の壁を超えて
多数決に起源はあるか
第5講 民主主義を使いこなすには
1 未来への意志
復習1――変わりゆく世界と〈私〉/復習2――働くこと,生きること/復習3――人と一緒にいることの意味/復習4――選挙について考えてみよう
2 僕らの意志を社会に反映させるには
選挙しか手段はないか/海士町の挑戦?――発想を変えてみる/海士町の挑戦?――新旧住民による「熟議民主主義」
3 プラグマティズムの民主主義
心が変われば習慣が変わる/習慣の力と実験の力
4 現代の民主主義はどこにある?
実験し,真似が広がっていけば,社会は変わる/社会を変えるために始めてみたいこと
5 ハンナ・アーレントのメッセージ
放課後の座談――講義を振り返る
Beginning Future: The Politics of "Being Together"
Shigeki Uno
宇野 重規[ウノ シゲキ]
著・文・その他
内容説明
友だち同士から国際社会まで互いに異なる人たちが、共に暮らしていくには。変わりゆく世界の中で、政治の根本を考え抜く5つの講義。
目次
第1講 変わりゆく世界と“私”(世界はお先真っ暗?;未来予測は、けっこう外れる ほか)
第2講 働くこと、生きること(どこまで、何を政治にのぞむのか;女性が活躍する社会ってどういうこと? ほか)
第3講 人と一緒にいることの意味(教室内にある政治;「弱いつながり」がブレイクスルーをもたらす? ほか)
第4講 選挙について考えてみよう(民主主義と多数決;出来がよくない集約ルール、選挙制度 ほか)
第5講 民主主義を使いこなすには(未来への意志;僕らの意志を社会に反映させるには ほか)
著者等紹介
宇野重規[ウノシゲキ]
東京大学社会科学研究所教授。専門は政治思想史、政治哲学。1967年東京都生まれ。1991年東京大学法学部卒業。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。