出版社内容情報
東西の交流ルートを扼する要衝に発展したオスマン帝国は,6世紀半にわたるその歴史の中で独特の支配組織と社会構造を形成した.広い比較文化・社会史的視野のもと,地中海地域をはじめとする周辺諸世界史とイスラム世界史の両面から帝国の特質を明らかにする.
内容説明
本書では、点描的に、比較史・比較文化的関心に立ちつつ、オスマン帝国を主要な素材として、一つの文化世界としてのイスラム世界とそのなかにおけるオスマン帝国のケースの位置について、いくつかの側面につき試論を試みた。
目次
序章 オスマン帝国と地中海とイラスム世界と
第1章 「イスラムの海」としての地中海―ブローデル『地中海』の再検討
第2章 世界秩序・政治単位・支配組織
第3章 組織と支配
第4章 奴隷の諸相
第5章 権力構造と「家」
第6章 征服と都市建設
第7章 帝都イスタンブルとオスマン権力
第8章 都市における「対抗運動」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
1
オスマン帝国に関する論集。他のイスラーム王朝や西欧世界と比較しながらその支配組織について述べた章が興味深かった。17世紀以降、西欧との比較から「遅れた」「腐敗した」と思われがちなオスマン帝国の官僚組織だが、同時代のイスラーム諸国と比べると依然として「先進的」であり、優位に立っていたというのはなるほどと思った。「武」から「文」へ、巨大な官僚機構が帝国の後半生を支えていたというのがよくわかる。2016/12/15
シンエンジャー K
1
オスマン研究の大家によるオスマン帝国研究論文集。政治・組織・地域史などについて、オスマン帝国(本書では後期イスラム帝国という位置づけ)と他のイスラム帝国(主に前期イスラム帝国であるアッバース朝)と比較しつつ検討した論文が収められている。ただ、鈴木氏は本書で各分野におけるオスマン研究についての課題提起も行っている。また、出版時からそこそこ時間も経過しており、鈴木氏の最新の著作・論文を参照した方がいい部分もあるかもしれない。2015/02/07
どうろじ
0
分析枠組みを提供するような小さめの論集、藪から棒な主張が多く読みづらい。2018/09/09