内容説明
本書は、昭和60年から3年間にわたって行われた文部省科学研究費プロジェクト「世紀転換期のアメリカ社会と国際関係」の成果をまとめ、現代アメリカの出現を総合的に理解しようとした試みである。1 知的潮流、2 移民・労働・農民、3 政府とビジネス、4 国際関係、という柱を立て、19世紀的アメリカが20世紀的アメリカに転換する過程を多角的にたどってみた10篇の論文が、おのおのの柱の下に配列されている。
目次
1 知的潮流(アメリカ文化の変容;世紀末の美学―スティーヴン・クレインの場合;哲学者ジョサイア・ロイスの「地方主義」―理想主義者の社会哲学)
2 移民・労働・農民(新移民の「同化」と教育―公立学校とパロキアル・スクールの役割;世紀転換期における工場労働の変質;農民運動と戦争―ポピュリストの場合)
3 政府とビジネス(政府によるビジネスの法規制―アメリカ行政法の史的展開;「積極極国家」への胎動)
4 国際関係(米国艦隊の世界周航とT.ローズヴェルト;世紀転換期におけるアメリカの対外経済関係)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
の
2
現代アメリカと銘打ってありますが、研究当時の世界状況を反映(つまり、ソ連と西ドイツとの比較)をしているので、厳密には現代ではないかも。南北戦争後のアメリカで急速に発達した資本主義的商工業は、現代の都市的アメリカと社会秩序の雛型を作った。その中で産業部門の独占体制と東欧新移民の劣悪な労働条件が問題となり、都市に住む中間層を中心とした政治的・経済的革新運動へと繋がり、社会的局面において直接一般市民が関わる体制を築くことに成功する。アメリカプロフェッショナリズムの感性の萌芽を見ることができる。2010/12/12
-
- 和書
- 小さな企業が生き残る