出版社内容情報
現在の複雑な日ロ関係の課題に対して、外交の現場を知る研究者を中心に、歴史的なアプローチによる解決の糸口を探る。日本とロシアがどのような国家の歩みを刻み,眼差しを交わしてきたのか.外交の現場での交渉をふまえ,両国の本質を理解しあうこと目的とした研究プロジェクトの成果.現在の日ロ関係の課題に対して,歴史的なアプローチによる解決の糸口を探る.
はじめに(東郷和彦)
序 章 アイデンティティを考える(A.N.パノフ)
I アイデンティティの形成――中世から近代へ
1 歴史の遺産と近代への影響(安野正士)
はじめに
一 中国・ビザンツ文明の遺産と近代への影響
二 近代におけるアイデンティティ形成の特質
結論
2 近世における歴史的発展の特徴(K.O.サルキソフ/パノフ)
はじめに
一 国家統一と対外膨張
二 18世紀のロシアと日本――地方統治と社会階層
三 権力構造における相違――聖俗権力の関係と黒幕・寵臣の役割
四 文明・宗教とアイデンティティの関係
五 19世紀前半における改革の挫折
II 近代化への道と日露戦争
1 近代化とアイデンティティの模索(安野/河原地英武)
はじめに
一 明治維新と大改革
二 明治日本のアイデンティティの模索――和魂洋才から脱亜入欧へ
三 双頭の鷲の揺らぎ――帝政後期のロシアにおけるアイデンティティの模索
四 日露戦争の意味――世界史の交差点
2 改革の時代(パノフ)
一 改革の背景要因
二 改革の開始
三 日露における国家思想
四 日露における啓蒙思想
五 対外政策
III アイデンティティの相克――第二次世界大戦終結まで
1 交差する日本とロシアの軌跡――1905-1945年(池田嘉郎)
はじめに
一 ロシア帝国と日本帝国
二 革命ロシアと日本
三 ソ連対日本帝国
むすび
2 和解と対立(サルキソフ)
一 日露戦争からロシア革命
二 ロシア革命から第二次世界大戦
IV 冷戦時代のアイデンティティ
1 葛藤する日本とソ連(下斗米伸夫)
はじめに
一 戦争、革命、抑留=戦後革命幻想の崩壊(1945-55年)
二 国交回復と高度成長(1956-72年)
三 デタント、多極世界と「比較される」社会主義(1973-85年)
四 ペレストロイカというすれ違い(1985-91年)
おわりに
2 「戦勝国」と「敗戦国」の歩み(D.V.ストレリツォフ)
一 第二次世界大戦の歴史的記憶――「敗戦国」と「戦勝国」の犠牲の度合い
二 政治権力のシステム――タコ症候群
三 社会発展の優先順位――均質化された消費水準の社会
四 「新たな愛国主義」――経済力か、帝国的大国主義か
V アイデンティティの再構築――冷戦後の時代
1 安倍・プーチンの新世紀(東郷/隈部兼作)
はじめに
一 ロシア
二 日本
三 これからの日露のアイデンティティ探求
2 転換か回帰か(S.V.チュグロフ)
はじめに
一 歴史――1000年の転換点に
二 伝統主義の衰退の代替としての起源への回帰
三 国益の優位
四 価値観の階層
五 2013-2015年の動向
終章 歴史の比較分析は未来の道標たりうるか(東郷)<br>
一 日露の自己意識形成の類似性と相違性
二 日露発展の起伏の相関関係
三 未来の道標として
執筆者・翻訳者紹介
Russia and Japan: Comparative Analysis of History of Identities
Kazuhiko Togo and A. N. Panov, Editors
東郷 和彦[トウゴウ カズヒコ]
東郷 和彦
東郷和彦:京都産業大学法学部教授
A N パノフ[パノフ]
A N パノフ
アレクサンドル・ニコラエヴィチ・パノフ:モスクワ国立国際関係大学教授/元在日本ロシア連邦大使
目次
アイデンティティを考える
1 アイデンティティの形成―中世から近代へ
2 近代化への道と日露戦争
3 アイデンティティの相克―第二次世界大戦終結まで
4 冷戦時代のアイデンティティ
5 アイデンティティの再構築―冷戦後の時代
歴史の比較分析は未来の道標たりうるか
著者等紹介
東郷和彦[トウゴウカズヒコ] [Панов,Александр]
1945年長野県生まれ。京都産業大学教授・世界問題研究所長。1968年外務省入省、2002年同省退官。2009年ライデン大学で人文博士。2010年より現職
パノフ,アレクサンドル[パノフ,アレクサンドル]
1944年モスクワ生まれ。モスクワ国立国際関係大学外交学科長。駐日ロシア大使、ロシア外交学院長等を経て現職。政治学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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