出版社内容情報
猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)を基にしたNHKの映像化に合わせ、作品の精髄を紹介しつつ戦争に突き進んだ日本を検証する。
昭和16年8月、総力戦研究所の研究生36人が豊富な資料と鋭利な頭脳を駆使したシミュレーションの結果は「日本必敗」だった。緒戦の大勝から末期のソ連参戦まで、原爆投下以外はすべて予見した精緻な報告書が内閣に提出されたにもかかわらず、「偶然性の欠如」ゆえに活用されることもなくお蔵入りに。その経緯が描かれたこの作品は、太平洋戦争を再考するうえでも、現代日本を改めて考察するうえでも参考となる名著である。この作品をさらに多くの人々に読んでもらいたいという立場からの解説書をコンセプトに編集する。
巻頭では猪瀬氏のインタビューを掲載。序章では日本が置かれた立場を地政学的に概括し、第1章と第2章では戦間期の日本の歩みを、第3章では総力戦研究所の実態とシミュレーションの内容、そして報告書を顧みず戦争に進んでいった経緯を、第4章では太平洋戦争の諸相とシミュレーションとの酷似ぶりを解説する。この作品で猪瀬氏が強調している、日本人の戦略的思考の欠如と意思決定の脆弱性についても掘り下げる。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
小鳥遊 和
3
薄いが内容充実、執筆者は非表記。猪瀬の小説より歴史が分かる。猪瀬インタビューあり。明治以後日本が置かれた国際情勢から20世紀の戦争拡大、日米開戦に至る経過を内政外交含めて整理し、開戦後の経過もまとめる。フーバー回顧録について短く触れたコラムもある。もちろん猪瀬が題材にした「総力戦研究所」についても詳しい。さて問題は、次の大戦(こんどは米・日は連携して中国の台湾侵攻に対して戦うのだろう)に関する「総力戦研究」はいつ誰が実行するかである。もちろん、米国中心で行われたシミュレーションが最も包括的で現実味がある。2025/11/22
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