出版社内容情報
1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。事件発生から2年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない――。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。
それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。
日本推理作家協会賞受賞作。(解説)山田詠美
内容説明
一九九六年、横浜市内で塾経営者が殺害された。事件発生から二年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない…。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。日本推理作家協会賞受賞作。
著者等紹介
芦沢央[アシザワヨウ]
1984年、東京都生まれ。2012年『罪の余白』で第三回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。同作が15年に映画化。18年『火のないところに煙は』が静岡書店大賞、22年『神の悪手』で将棋ペンクラブ大賞優秀賞(文芸部門)、23年『夜の道標』で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カブ
41
読み応えのある小説でした。虐待、発達障害、旧優生保護法と重いテーマに途中押しつぶされそうになったが最後まで読めた。特に、子どもに当たり屋をさせて生活する父親に怒りしかなく、物語とはいえ辛かった。2025/05/08
ま~くん
38
塾の経営者が殺害される事件が発生。容疑者と思われるれる人物の行方は掴めずに時は過ぎていった。ある事情から殺人犯を匿っている女、父親に支配されている少年、上司に疎まれながらも部下と共に犯人を追う刑事等、それぞれの立場から事件に関わりあう内に交錯する真実と闇。「真犯人はお前だ!」という内容ではないがストーリーに引き込まれた。最大の焦点は殺人の動機。現代では考えられない酷い真実に唖然とした。「それが普通だった。みんなやっていた」という言葉はとてつもなく重たい。決して繰り返してはいけない歴史の真実に驚愕した。2025/07/23
まこみん
37
1996年評判の良い塾の先生が殺害され、容疑者は特定されたが2年後も捕まっていない。小学6年のバスケの上手な少年波留は、父親から当たり屋をさせられ、日々の食事もろくに貰えない。この二人の出会いが新たな展開を招く。まだ発達障害の言葉が一般的ではなかったこの頃、精神薄弱という認識は確かにあった。阿久津自身の目線思惑記述はなく、殺人に至った理由も母親の言葉で推測される。もし元妻があれ程迄子どもを欲しがらなければ、もし母親がもう少し上手く息子に話せていれば。波留が酷い毒父から抜け出せたのは良かった。2025/08/09
おいしゃん
31
日本推理作家協会賞作品。父から当たり屋をさせられている少年など、しんどい部分が多かったが、それでも400ページ超飽きさせなかった。視点も各章ごとにコロコロ変わるが、連続性があるので全くストレスなし。2025/07/18
owarai
31
名探偵コナンは、「真実はいつもひとつ!」と言うけれど、決してそんな事はないはず。事件に関わった人それぞれに真実があるはずで、神でもない限りその全てを一望する事はできない。それならば、事件の犯人にも真実があり理由があるはずで、実社会の報道を見る目も変わって来るというもの。トリックや犯人探しが楽しい、軽薄なミステリーとは異なる本書。久しぶりの読書にうまく感想を書けない、どう表現して良いかわからない。そんな感想を抱かせる本書をお勧めしてきた娘には、いったいどう映ったのか。真実のひとつとして、気になるところ。2025/05/06
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