内容説明
人間の文明のなかでもっとも古い営みである「造形」は、対立する二つの意志の産物であった。秩序と逸脱、簡素と過剰、普遍への志向と個物への固執…。造形の歴史を対極的な二つの原理、すなわち「デザイン」と「装飾」のダイナミックな葛藤として読み解く壮大な文明論。
目次
第1章 二つの造形意志
第2章 形ともの―ものの見かたの構造
第3章 造形と造形理論の起源
第4章 デザインの始源
第5章 造形史の弁証法―建築、平面像、立体像、都市の発生
第6章 見るための造形―「工芸」から「博物館」
第7章 近代工業と芸術の誕生
第8章 装飾とデザインの近代史
第9章 彷徨する造形―装飾の逆襲
著者等紹介
山崎正和[ヤマザキマサカズ]
1934年、京都府に生まれる。京都大学大学院美学美術史学専攻博士課程修了。関西大学教授、大阪大学教授、東亜大学学長などを歴任。劇作家・評論家。2006年、文化功労者に顕彰される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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iwtn_
1
まさに対比されるべき言葉が並んでいたので購入。造形における、事前に統一しようとする意思の現れであるデザインと、個に向かいそれを他と際立たせるための装飾。普段あまり形は作らないし、美術の知識も少ないので、へーそうなのかーと思いつつ読み進めたが、参考になる言葉は多かった。特に、文字というものが、誰が書いても同じ字だと認識される必要があり、則ちその根底に規格化への要求があった、というような文に、日々キーボードで文字を打ち込む自分は感銘をうけた。複雑で多様な造形は人を人たらしめる現象でもある。良い読書だった。2024/02/22
takao
1
ふむ2020/10/01
アイ
0
装飾・デザイン、大別して二つの造形意思の観点から視界を繙く内容。個人メモとして、前後の著作を見れば、ごく狭い範囲の関心の穴にぴたりと嵌る予感のあるタイトルが並んでいる。面白かった。2016/01/28