内容説明
日清・日露戦争に従軍し、昭和5年のロンドン軍縮会議に際しては軍縮に賛同する「条約派」として尽力。内閣総理大臣時代に二・二六事件に遭遇、間一発で暗殺を免れる。戦争末期に和平工作に参加。常に中枢にあって大日本帝国の興亡を見つめ続けた海軍軍人の語る回想。
目次
明治の少年
成長期の海軍
陸軍の野望たかまる
波乱の軍縮会議
五・一五事件と政党
組閣難航の前後
危機をはらむ時期
二・二六事件の突発
日本のわかれ道
東条とのたたかい
終戦に努力した人々
著者等紹介
岡田啓介[オカダケイスケ]
1868年生まれ。海軍軍人、政治家。日清・日露戦争に従軍し、1924年に海軍大将。その後、海軍大臣、連合艦隊司令長官等を歴任。30年のロンドン軍縮条約に際しては「条約派」として軍縮推進に尽力。34年に内閣総理大臣となるが、36年の二・二六事件で襲撃され、辞任。太平洋戦争末期、反東条内閣運動、終戦工作に活躍。52年、死去
岡田貞寛[オカダサダヒロ]
1917年、岡田啓介の次男として東京に生まれる。海軍経理学校を経て28年、海軍主計少尉に任官。太平洋戦争中はフィリピン等で戦闘に参加。終戦時は海軍主計少佐。戦後は川崎汽船、国洋海運等に勤務。著書に『父と私の二・二六時件』がある。2005年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デコ
14
「昭和天皇の声」短編の中に2・26事件についての話があり、首相の救出があまりに劇的なのに興味をもった。この事件で奇跡的に助かった首相岡田啓介の回顧録。2019/11/10
BLACK無糖好き
6
本書は激動の昭和期を、当時海軍大臣・総理大臣を歴任した岡田啓介の回想を通して振り返る事ができる貴重な書かと思われます。ロンドン軍縮会議における海軍内の条約派と艦隊派の抗争、美濃部達吉博士の天皇機関説問題、二・二六事件、終戦工作での東条英機とのたたかい等、政権当事者から見た当時の状況が生々しく伝わってくる。特に国体明徴の政府声明を出すにあたっての、政友会・軍部の厳しい圧力や、二・二六事件の危機の中で女中部屋の押入れで過ごした時の状況なども、本人の口から語られると大変興味深いものがあります。2015/11/22
鐵太郎
6
日本が太平洋戦争に駆け下りていく歴史の坂の中で、戦争を避けるため、国家を守るために力を尽くした良識派の海軍軍人の一人、岡田啓介のオーラル・ヒストリーによる回顧録と、岡田の残した日記から見える生々しいロンドン軍縮会議の記録の二篇をまとめたもの。視点が一つにまとまっていることで、ある意味個人の偏った見方と言うこともできますが、こういう歴史の証言が、いつまでも語りつがれる世の中でありますように。2015/07/19
itosan04
3
226事件当時の総理大臣だった岡田啓介の回顧録。当時の軍部の横暴、それと断固として戦った総理周辺と昭和天皇が印象深い。今日のビデオ放送聞きながら日本国と象徴天皇制を改めて考えさせられた。2016/08/08
junkoda
2
終戦工作の重鎮の動きが面白かった。2018/03/23