内容説明
アウシュヴィッツに送られたユダヤ系ポーランド人のレナと妹のダンカ。死と隣り合わせの過酷な状況にありながらも、レナは妹を守り、生き延びると誓う。わずか二十歳の女性を支えたのは、希望、理性、そして愛する者との絆だった。時代、国籍を越えて人間存在の尊さを謳う奇蹟の体験記。
目次
序章 出会い
第1章 幸福な日々
第2章 愛しい人たち
第3章 自由はどこに
第4章 約束
第5章 生と死のあいだで
第6章 友情、そして恋
第7章 「西へ行きなさい、レナ」
著者等紹介
ゲリッセン,レナ・K.[ゲリッセン,レナK.][Gelissen,Rena Kornreich]
ポーランドのティリチ生まれ。妹とともに、アウシュヴィッツに三年のあいだ収容されていた。解放後、夫とともに米国ノース・カロライナ州の山岳地帯に暮らす。2006年死去
マカダム,ヘザー・D.[マカダム,ヘザーD.][Macadam,Heather Dune]
フリーライター。米国ノース・カロライナ州在住。ノンフィクションのほか、ミステリー等も手がける
古屋美登里[フルヤミドリ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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有
35
強制収容所で生き延びた姉妹の記憶。人としての尊厳を奪われ、気紛れに生死を分けられて。そんな中でもまさに命懸けで妹を守るレナ。誰かを守ることは、こんなにも強く美しい。もし同じ状況にある時、私は誰も守れない。自分さえ守れない。想像するだけでも辛い現実は、絶望だらけだった。母親が一口頂戴と言っている果物を、無視して皮まで食べてしまう子供を見てしまったエピソードが忘れられない。人が人から人と扱われなくなり、何も考えることのない生き物となってしまう。それはこんなにも悲しい。自分に対して正しくありたいと強く思う。2012/12/14
Wisteria
6
まず、おいしいご飯を食べる事ができて、温かいベッドで眠る事ができる毎日に感謝します。絶滅収容所を生き延びたレナの証言は非常に重い。レナもダンカも二人でいたから命を落とさずに済んだのではないだろうか。お互いの為に知恵と勇気を絞り、何とか小さな希望を持って支え合えたからこそ。特にレナの極限状態にあっても失わない誠実さには頭が下がる。人を助ける、不正を行わない。あの環境でそれはどれほど難しい事だろう。おばあちゃんになったレナとダンカが孫を抱いた写真の笑顔がとても素敵。もっと広く読まれるべき本だと思う。2018/01/24
ANUNYAPHUM
5
翻訳の先生に勧められて読みましたが、こんなに凄い内容が残った上に日本語に翻訳され読む事が出来た事が嬉しいです。 レナと妹ダンカが生き残ったからこそ、後世に残す事が出来た真実でした。 途中で読むことをやめることが出来ず、只ひたすら彼女らが自由になるまで読み進めてしまいました。2012/11/29
椿子
5
単行本にはなかった写真や注釈、エピローグも付け足されていた。色々なことに気づかされたというか、改めて考えてしまった本。忘れないようにしなければ、と思う。解説の、人間の存在価値についての一文も凄く印象に残った。2011/04/15
イッパイアッテナ
5
レナの告白はいつしか過去形から現在形になる。アウシュビッツという地獄の中で、妹を想う心が生きる力を奮い起こした。人間の尊厳を失わなかった。独り占めなんてしなかった。守るものがあると人間はこんなにも強いのか。2011/03/04