内容説明
泥鰌はなぜどぜうと書くのか、年越蕎麦はなぜ、うどんではいけないのか。様々な食物を話の枕にして、交友、ギャンブル、回想、男女間の問題などを豊富な人生経験に基づき語りおろす、洒脱なエッセイ集。本文と絶妙な掛け合いをなす、山藤章二のイラスト、一〇一点も収載。
目次
食欲について
生牡蛎
鮪
イクラ
茗荷
うどん
鰈
青柳
みる貝
筍〔ほか〕
著者等紹介
吉行淳之介[ヨシユキジュンノスケ]
大正13年(1924)、岡山市に生まれ、三歳のとき東京に移る。麻布中学から旧制静岡高校に入学。昭和18年9月、岡山連隊に入営するが気管支喘息のため四日で帰郷。20年東大英文科に入学。大学時代より「新思潮」「世代」等の同人となり小説を書く。大学を中退してしばらく「モダン日本」の記者となる。29年に「驟雨」で第三十一回芥川賞を受賞。45年には『暗室』で第六回谷崎潤一郎賞を受賞する。平成6年(1994)7月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
22
食べ物がテーマのはずなのに、淳之介さんの語り口が可笑しくてどんな食べ物が出てきたかあまり印象に残っていない。山藤章二さんのイラストにも笑ってしまう。かなりきわどい話もあるのだが、生々しくいやらしくならないのはさすが淳之介さんといったところ。2013/03/17
KAZOO
15
読んでいてどこかでこの挿絵や文章が見たことがあると思ったら「夕刊フジ」に連載されていたのですね。やはり読ませる文章のうまさそれと食べ物に関する薀蓄の広さは吉行さんならではの感じです。それに山藤さんの挿絵も面白く一気に読んでしまいました。この本も何度か読み直す本に入れましょう。2014/01/19
マッキー
12
エッセー自体も味があるんだが挿絵の素晴らしさと言ったら過去最高レベル。1枚1枚手が込んでる。下ネタもたくさんあるし、食にまつわる蘊蓄や作者の造詣もみどころ。2016/09/20
イエテイ
3
食べ物の話かなと思ったらエッセイ集だった。そうかそれでタイトルが「贋食」なのか。戦後の食料事情は厳しかったのにどことなく明るい。イラストも楽しいし色っぽい話が多い。2020/06/22
hirayama46
3
食べ物の話を枕に、様々な話題を縦横に繰り広げるエッセイ集。夕刊フジ連載だけあってかすらすらと読みやすくて楽しい。山藤章二の挿絵はかなりノリノリで、むしろ多分に悪ノリも含まれていて良い。「燃えよドラゴン」の悪役が吉行淳之介に似ているとは気づかなかったな……もう一度見てみようかな。しかし、山藤画の吉行淳之介は常に不機嫌そうな表情ですね。わりと飄々としたイメージがあるのでちょっと意外。2020/02/29