出版社内容情報
恋と仕事を同時に失い深く傷ついた美菜代は、自分を裏切った元彼への復讐を心に誓い、凄腕だと噂される復讐屋・成海慶介の事務所を訪れる。しかし、セレブからのみの依頼を受ける成海には復讐の代行を断られてしまう。美菜代は仕方なく、秘書として成海の事務所で働きながら「復讐」の極意を学ぼうとするが……。理不尽な出来事に苦しみ、一人で辛さを抱えた時に、味方になってくれる一冊が新装版として再登場。読むほどに気持ちが晴れていく、自分の人生を取り戻すための物語。(旧題:『復讐屋成海慶介の事件簿』)
内容説明
愛した男に騙され仕事を失った美菜代は、凄腕の復讐屋がいるという噂を聞きつけ、その男、成海慶介の事務所を訪ねる。しかし提示された依頼料は高額で、とても払えない。追い返されても諦めきれない美菜代は成海のもとで働かせて欲しいと頼み込み、押しかけ秘書となるが―。どうしようもない人生の不条理に直面する人々の悲喜交々を描いた、ユーモアと優しさ溢れる復讐劇が新装版となって登場!
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年、神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞、07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
136
単行本から文庫本に。そして今新装版として私は出会った。軽く読める方の原田ひ香さん。ツッコミどころはあるし、装画イラストの成海と美菜代、この二人に心は揺れない。「復讐するは我にあり」と言う成海だが、そもそも復讐を大上段に構え生業になるのかな?(←そこ?)とは云うものの、この齢まで生きてきて復讐したい相手の一人くらいはいたけれど、もはや笑い話にもならないほど小っちゃくて・・そんな自分にギョッとしてる(笑)2025/02/05
のぶ
124
恋人だと思っていた男に裏切られ、会社を辞めた美菜代。セレブ専門の復讐屋に、復讐を依頼するも断られ、そこで秘書として働くことに。婚約者が飼っているサルに負けた女・オーケストラのコンマスの座を奪われた女・遺産相続に巻き込まれた女、やさまざまな依頼者がやってくる。全体的にこれとして、所長の成海さんは行動を起こしていない。信念が『復讐するは我にあり』みたいなかんじで、復讐なんてせずとも相手は勝手に自滅するよ、みたいな感じで。あまりスカッとするような復讐劇ではない。ちょっとした探偵劇みたいな印象だった。2025/01/02
ノンケ女医長
106
女性が思わず、そっと目を閉じてキスを期待してしまう外見。全く遠慮のない、明け透けな物言いはむしろ爽快。幾重にもオブラートに包むことが美徳かのような現代社会では、とても稀有な存在と言える。雑居ビルの3階にある事務所へ相談を持ちかけるためには、あの金額は仕方ないんでしょう。つっけんどんなやりとりの裏に、たくさんの気づかいも感じられて、ほんわかした読み心地になった。復讐屋の生育歴を、勝手に暴露するシナリオライターの無遠慮さには腹が立った。あれはダメ。2025/01/04
Kazuko Ohta
81
同じ系統といっては失礼なのかもしれませんが、原田ひ香と垣谷美雨の著作のタイトルはどっちがどっちかわからなくなることがよくあります。同じような話だしなぁというのもこれまた失礼なことだけど、だからこそ和むというのか胸がすくというのか。ただ、美菜代にはかなり鬱陶しさを感じてしまいます。職種は違えど中山七里の『能面検事』で事務官を務める美晴を思い出し、ちょっと黙っといてんかと叫びそうになりました(^^;。人生で復讐したいほどムカつく出来事は何度かはあったはず。復讐に走らなかったからこそ今があるということなのかな。2025/03/27
みこちゃん
56
職場恋愛で酷い裏切りを受け退職した神戸美菜代は、復讐を果たしてくれるという成海慶介の事務所を訪ねる。断られても成海の助手として働くことになった美菜代は、日々訪れる復讐依頼案件に関わる中で、成海のいう「復讐するは我にあり」の意味を知ることとなる。そしてついに、自分を裏切り家庭を持った元彼と対峙することに。復讐屋成海の過去が明かされる終盤では、成海のいう言葉の意味も納得できるし、成海の美菜代を大事に思う気持ちも垣間見え、満足の着地点だった。深夜帯のドラマになりそう。2025/03/18