出版社内容情報
記号論の論客である著者が、「ことば」を解体し、また、「太陽」や「擬態」などのモチーフの「かたち」(デザイン)を解体する。
内容説明
デザインとは、哲学にも似た総合性を備えながら、生活世界の具体的な形成を対象としたものである。「ことば」を解体し、また、「太陽」や「擬態」などのモチーフの「かたち」(デザイン)を解体する。デザインの原義を根源から問い直す思索の集大成。
著者等紹介
向井周太郎[ムカイシュウタロウ]
1932年生まれ。インダストリアル・デザイナー。早稲田大学商学部卒業後、ドイツ・ウルム造形大学でデザインを専攻。同大学およびハノーヴァー大学インダストリアル・デザイン研究所のフェローなどを経て、武蔵野美術大学に基礎デザイン学科を設立し、新しいタイプの人材の育成とデザイン学の形成に力を注ぐ。現在、武蔵野美術大学名誉教授、日本大学大学院客員教授、国際デザイン研究評議会(BIRD)委員、基礎デザイン学会会長、日本記号学会理事等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
手が水を掬う形を「無の道具」とした著者は、身体を線形的空間に置き、形を外化した「有の道具」に満ちる近代以後を「原像の崩壊」と位置づけ、なお残存する非線形的生のデザインを、かくす、めだつ等擬態的行為に見出していく。本書は擬態をルロワ=グーランの身振りの民族学で辿り、それが環境との相即的行為である点をギブソンのアフォーダンスで検証しつつ、原像がなお残像として触発する我々の身体に注意を促す。芸術側の問題提起ゆえにマンマシン・システムについては生命寄りだが、マシンへの移行を再考する契機として捉えることも可能だ。2017/09/02
May
0
現代詩手帖に掲載されていた文章も含まれていて、デザイン思想書であると同時に詩のような、不思議に引き込まれる本。『生とデザイン かたちの詩学Ⅰ』では「生成(ポイエーシス)」を中心に論を展開していたと記憶しているけど、今回は混沌たる世界の中から立ち上がる原形、ネグ・エントロピー(秩序)を食べて生きる存在の形態とリズムを軸に書いている。芸術作品はもちろん生物学・生理学からも着想を得た文章は瑞々しくて読んでいて楽しい。存在を秩序の側に囲い込まずに、混沌と秩序を往復するものとして描いているようなところがとても面白い2013/09/24
MO
0
デザインを機能や形のモノとはとらえずに、人の感覚と世界を仲介する何かとして見る。それは象徴的な試みであり正に詩的に表現が可能だ。世間はまだデザインを理解していない。デザインの可能性はまだ大いにある。「デザインとは、本来そのポイエーシス(ギリシャ語のポエジー「詩」)というような意味での詩的営為である、あるいは、そうあってほしいと思うのです。科学者、詩人、デザイナーが一つであるような制作の世界でありたいと思うのです。デザインの教育や研究も、私はそのような意味での世界形成の創造的なプロセスであると考えています」2020/08/07
akiu
0
『生とデザイン』に引き続き読んだ。太陽や擬態等のテーマをもとに綴られる、デザインに関する詩的で哲学的な散文集。いっけん混沌としたものから、デザインの原義を見出すという思索、という風に漠然と捉えましたが、具体的な理解はほとんど進まず、示唆に富んだ多くの文章は私の頭を上滑りするばかりなり。かなり難しかったです。もうちょっと周辺の知識を身に着けてから再読だなぁ。2019/01/25
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