出版社内容情報
ルーマニアの首都ブカレスト市北部のマンホールに棲む、不幸な生い立ちを背負った少年たちの「地下王国」への潜入ルポ。
内容説明
チャウシェスク体制崩壊後のルーマニアでは、ストリートチルドレンの一部がマンホールでの生活を強いられていた。著者はマンホールに単身乗り込み、シンナーを吸ったり、結婚し、子どもまでつくっている生活の様子を取材した。弱者どうしのいがみあい、彼らをさらに追い立てる社会の非情さなどを浮き彫りにした傑作ルポルタージュ。
目次
第1章 傷跡―春
第2章 接近―初夏
第3章 歓声―夏
第4章 混迷―秋
第5章 曇天―冬
第6章 離別―再び春
著者等紹介
早坂隆[ハヤサカタカシ]
1973年愛知県に生まれる。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
35
初読。2014年913冊め。「チャウシェスクの子ども達」について読みたいと思って手に取った。社会主義の崩壊とその未来をマンホールから覗く。マンホール・チルドレンの一人は「資本主義よりも共産主義のほうが人に優しい。資本主義は強い奴がますますいい目を見ることができるシステムで、弱い人間はこの有り様だ」と語る。2014/10/24
tsubomi
8
2017.02.20-28:マンホールで生活している人がいるということ自体が驚き。著者はこのマンホール生活者たちにインタビューしただけではなく、実際にマンホールに入っていって疑似とはいえ友情関係で結ばれ、短期間ではあるけれども確かに彼らの心を開くことに成功していて、「チャウシェスクの子供たち」と呼ばれる社会の底辺に置かれた人間の生活実態と考え方や希望についての興味深いルポでした。そして、ずさんな医療政策でAIDS感染者が大量に生み出された現実がとても残念で言葉もありません。2017/02/28
はしむん
3
以前ルーマニアに行ったことがある。クレイジージャーニーでマンホール生活者を取り上げていて読みたくなった。マンホール生活者の事だけでなくチャウシェスク政権の事や時代背景などを取り上げていてわかりやすい。2019/01/20
有坂汀
1
「チャウシェスクの子供たち」僕が彼らの存在を知ったのはTBS系列でひそかな人気を博しているテレビ番組「クレイジージャーニー」にて犯罪ジャーナリストの丸山ゴンザレス氏によるルポルタージュからでありまして、その中で強烈な存在を放っている「ブルース・リー」が番組放送からしばらくして逮捕された、というニュースは二重の衝撃を与えてくれました。EUが持っている「闇」の部分…。民族差別、社会階層の対立、外国人排斥、家庭崩壊、アルコール、HIV…。こういったところはなんら変わっていないことを知って慄然としてしまいました。2025/01/01
たけぽむ
1
ハンガリーやチェコに旅行に行ってから東欧に興味が出て読み始めました。革命後のルーマニア…この内容がわずか10年前だと言うのが驚きです。“チャウシェスクの子供達”と言う表現が好きではないと言った少年が印象的でした。2014/06/17