内容説明
太平洋戦争終結後の極東国際軍事裁判(通称東京裁判)において、弁護団の中心人物であり、また東条被告の主任弁護人でもあった著者による裁判秘録。文明の名のもとに行われた空前の戦争裁判の不当性を突く、迫真のドキュメント。
目次
終戦時の表情
東条自決
無条件降伏に非ず
裁判の開始
裁判手続き
弁護人らの関心事
検察側の想定
冒頭陳述とその批判
立証された事実
不可解な事件〔ほか〕
著者等紹介
清瀬一郎[キヨセイチロウ]
1884‐1967。兵庫県生まれ。京都帝国大学独法科卒業後、弁護士を経て政界に入る。極東国際軍事裁判では日本人弁護団副団長、東条英機の主任弁護人として戦争裁判の不当をつく。政界に復帰後は改進党幹事長、日本民主党政調会長、第三次鳩山内閣文相、衆議院議長等をつとめる。弁護士としても著名で、東京弁護士会会長をつとめた
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感想・レビュー
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yoshida
27
大東亜戦争の敗戦による、連合国の「復讐の為の裁判」。それが東京裁判と言える。本著は弁護団の副団長を務めた清瀬氏が20年後に上梓したもの。本著を読むと東京裁判が如何に欺瞞に満ちていたかがよく分かる。インドのパール判事以外にも、アメリカ人やイギリス人の弁護士、法学者からの動議や反論が興味深い。ヤルタ会談の密約、火事場泥棒的なソ連参戦とシベリア抑留、北方領土問題。最大の戦争犯罪である一般人への原子爆弾投下。日本を打倒した事により、自国が直接に共産主義国と対峙せねばならなくなったアメリカの皮肉。読み継ぐべき記録。2014/12/18
とみやん📖
13
非常に良い本だった。学生時代以降、東京裁判については関心をもっていたが、初めて弁護団代表であり、戦後は衆議院議長まで務めた清瀬一郎氏のこの本を読んだ。 冒頭陳述全文や東條英機の遺言の口述筆記など、初めて目にしたものが多数あった。 東京裁判に用いられた法理論が、連合国(勝者)による復讐的な意味合いをこじつけるために、如何に不自然不合理であったのか改めて理解した。そして、現在もなお日本は「無条件降伏」したと誤解され続けているが、実際には政府同士で条件に基づき降伏していることは重要と思った。2024/09/14
新父帰る
8
今では古典的な本なのかもしれない。東京裁判に触れるものなら、誰でも一度は目にするだろう。清瀬一郎が最初から東条英機の弁護人に買って出た訳ではなかったようだ。当初、清瀬は全被告人の弁護人として受任し、消去法で最後に東条の弁護人を引き受ける者がいなかったので清瀬が引き受けた。東京裁判が復讐裁判で、国際法を無視した裁判であったことは、今更言うまでもない程、世に周知されていると思う。また、日本が無条件降伏を受諾したのではないことも、ポツダム宣言の条文を読めば分かる。読んで意外だったのは、ウェッブ裁判長が平和に対す2016/10/21
勝浩1958
8
清瀬一郎氏は「東京裁判は、本来復讐が目的であった。」「また、東京裁判では、判事のうちにも、これが事後法であるということを認めた人もある。」と述べている。確かにその通りだと思うこともある。だからと言って、日本の行った戦争によって特に多くのアジアの人々が亡くなった事実は消えないのである。百歩譲って、この東京裁判が無効だとしても、日本が行った戦争は悪であると言いたい。西洋の植民地政策や奴隷制も悪である、貴様らも同じじゃないか!と声高に叫んでも、それで悪を免れることはない。2015/07/25
Hiroshi
6
極東国際軍事裁判、通称東京裁判で日本人弁護団副団長を務めた著者の本。昭和23年末の東条英機ら7名の死刑執行の後にも東京裁判についての執筆依頼があったが、当時は占領下であり検閲もあり自由な表現が許されていなかったので断っていた。昭和41年に読売新聞より終戦時や東京裁判の思い出の執筆依頼があり、4,5回分の回顧録を書くつもりで引き受けたが、反響が凄く、結果50回と補遺1回を書き上げた。それらの記事に順序をつけてまとめたもの。それと弁護人の冒頭陳述からなる本。◆終戦時の表情から始まる。終戦の詔書を初めて読んだ。2021/07/24