内容説明
重光葵元外相が巣鴨獄中で書いた、貴重な昭和の外交記録。上巻は、満州事変から宇垣内閣流産するまでの経緯を、戦後、東京裁判の俎上にあがってから新たに知り得た事柄をふまえ、世界的視野に立って描き出す。
目次
第1編 満州事変(若槻、犬養政党内閣)
第2編 二・二六叛乱(斎藤、岡田海軍内閣)
第3編 北進か南進か(広田、林弱体内閣)
第4編 日支事変(近衛第一次内閣)
第5編 「複雑怪奇」(平沼中間内閣)
第6編 軍部の盲進(阿部、米内軍部内閣)
著者等紹介
重光葵[シゲミツマモル]
1887‐1957。外交官、政治家。大分県に生まれる。東京帝国大学卒業。外交官としてソビエト連邦、イギリス、中国大使をつとめた。昭和18年、東条内閣における外務大臣に就任。終戦時、連合国最高司令官に対し派遣された全権委員として、戦艦ミズーリ号上で降伏文書に調印した。戦後、A級戦犯として起訴され、禁固刑の判決を下されるも後に減刑。刑期満了後は鳩山内閣において外務大臣・副総理をつとめた
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感想・レビュー
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こまったまこ
7
戦前から戦後まで外交で活躍した元外相重光葵氏による激動の昭和の解説書。上巻は満州事変前から三国同盟締結前の米内内閣までを追っている。著者は満州事変時には駐支公使、2.26事件時は外務次官、張鼓峰事件時は駐ソ大使とそれぞれの重大事件の時に近くにあって深く事件を見聞しており支那関係は特に詳しく述べられている。本書を執筆したのが巣鴨プリズンに収監されている時であることには驚かされる。事件関係者が同じ獄舎に勢ぞろいしているから取材するのには便利だっただろう。東條英機からは是非書き遺してくれと激励されたらしい。2016/03/13
Shinya Fukuda
2
満州事変から米内内閣総辞職までを取扱う。著者は外交官として事情をよく知る立場にあった。冷静に客観的に書かれてある。これまで陸軍悪玉、海軍善玉と思っていた。しかし、認識を改めたい。大東亜戦争は海軍が起こした戦争だ。南進は誤りだった。陸軍は統制派と皇道派が争い、統制派が勝ったが統制派の中で北支派と支那派が争うようになった。支那派がいけない。北支にまで手を伸ばしたのは誤りだった。欧州で戦争が始まった時日本はチャンスだった。欧州が戦争で疲弊し漁夫の利を得てアジアの中心となることができたのに逸してしまった。残念。2022/03/27
じろ
1
★★★★★ 本当にこの人の本は読みやすくて(難しいけど)過剰な情が入ってなくてしかし深くて良い…やっぱ現場の人だからかな。批評家は嫌いだしな。 日本が第二次世界大戦で負けた、というのは流石に知ってるし真珠湾を攻撃したからなんだよな…三国同盟してたからだよな…てとこまでは知ってるけどこの外交の動きはさっぱり知らなかった。軍部が暴走したからなんだよな…てのも知ってるけどそれは他国の経済封鎖があったからとかは知らなかった。すごく考えさせられる…。この後巣鴨日記を読むので戦犯がなんていうかも楽しみ。2019/02/03
森川トモヲ
1
三冊目。孫崎本でベタ褒めだった人。1945/9/3のミズーリ号で敗戦のアレに調印した人。言うことが鋭くて驚いた。昔の偉い人は頭いいなぁ。この人が生きてて若くて総理大臣だったら、やる気出る気がするね。とりあえず下巻が楽しみ。2012/09/11