内容説明
フォークナー兄弟の週末パーティーに招かれたマリリーは、翌日、弟ジョージが寝室で喉を掻き切られているのを発見した。次第に高まるサスペンスと、一日の終りに待ち受けていた驚くべき真相。人気作家ライスがマイケル・ヴェニング名義で発表した幻の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kyoko
18
クレイグ・ライスは「おおはずれ」「大当たり」「スイート・ホーム」などのマローンものを昔読んだ記憶があるが、これはユーモア小説というよりは本格派推理小説。いわゆる館モノというか。イギリス小説かと一瞬思ったが、そこはクレイグ・ライス。緻密な設定と人間観察の鋭さが素晴らしい。週末にお屋敷に滞在していたゲストたちと館の主人たちのみで話は起承転結する。ただし、3回転アクセルぐらい最後はクルクル回った。やはり古典は面白い。図書館にある分だけでも読んでいこうと思う。2022/03/06
harukawani
12
『時計は三時に止まる』に続いて、クレイグ・ライスの長編を。自室で殺されている男を、全員がそれぞれの理由で隠し通そうとするが……。『時計〜』ほどのユーモアはなく、設定はコメディだが、漂うのは暗いサスペンスフルな雰囲気。最後のサプライズも良いが、何より登場人物たちの人柄と過去を見つめる著者の柔和な眼差しが良い。死んだ男が、その人生を通して抱えていた心情は、悲劇的で物哀しかった。傑作だと思う。2018/11/06
koo
8
10代の頃読んだスイートホームが絶望的に合わず以来スルーしていたクレイグライス、今回約30年ぶりに再挑戦した作品は予想外の展開があり楽しめました。お屋敷で嫌われ者が殺され客人全員に殺害動機があるという一見オーソドックスな人物構成ながらかなり無理めなコントの様な展開がユニーク、本格作品としては読者に情報が提示されない為ラストまで看破出来ないのはアンフェアとも言えますが終盤の展開、探偵役によるツイストの効いた謎解きは読み応え充分でこの作品はこれでいいと思います(笑)クレイグライス侮れません。2023/12/07
のざきち
5
この作品の醍醐味は、何と言っても二段構えのサプライズ・エンディングでしょう。長さも手頃で、楽しく読めました。2019/05/19
葛井 基
4
ネタ自体はけっこうバレバレ。それより人間ドラマが泣ける。名探偵メルヴィル・フェアの、観察者というキャラクターもいい。2015/04/24