内容説明
18世紀は清王朝の黄金時代であった。明朝末期の不安と動揺に怯えていた中国社会は、清朝の征服下、東西貿易の拡大やヨーロッパ貴族社会におきた支那趣味ブームによって、かえって安定を取り戻した。しかし、比類ない繁栄をもたらした康煕・雍正・乾隆の三代にもやがて没落と衰亡の前兆がしのびよる…。
目次
明の滅亡
清の世祖の北京入城
鄭成功の海上王国
康煕帝の華南平定
独裁天子、雍正帝
北アジアの分割
乾隆時代の栄光
筆過事件続出す
考証学おおいに興る
長崎の唐人屋敷〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
3
再読。平易な文章で広く時代の歴史を捉えており、研究書やテーマを絞った単著に比べて薄味ではありますが、それでも随所に宮崎先生の独自の感性や鋭敏な視点が光っています。中国を治める政権は人々を食べさせておられる限りにおいて支配を維持できる、同じ蛮行でも自国民のものは黙過され外国人のものは激しく批判される、など中国史上の命題や、学問の発展とは資料を手繰る事ではなく着想を膨らます事によって行われる、など方法論に関わることにまで触れられており、この時代の知識以上のものが得られる、宮崎ファンも充分楽しめる一冊です。2015/08/31
山陰 柴
1
ヨーロッパの海洋国がこぞって宣教師、東インド会社を先頭に利益を求め進出してきた。ヨーロッパvsイスラム教国の範疇しかなかった各国は第三の世界に接触したが、その強大な国=清朝帝国には対等の国としても相手にされない。三跪九叩頭をもって皇帝の前で三度膝まずき✖️三回額を地につけ令を朝貢国として謁見してあげます。世界の大帝国区の価値観に西洋諸国は度肝を抜かれた。大専制国の世界はどんなんなんだ!!全解明をスーパー学者宮崎市定氏の人間味ある文章で解明された。現代中国の領土(新疆、チベット、台湾、モンゴル)がこの時にー2021/05/13
柳生宗矩
1
一度読み始めたら一気に最後まで読んでしまった。やはり宮崎市定の文は人を引き込む何かがあると思う。面白かったのは雍正帝のくだり。独裁君主としてはこれほどまでに理想的な独裁君主は世界でも例を見ないと思われるが、当の中国人からはあまり人気がない。やはり並ぶものなき神聖な君主といえども乾隆帝のような人間らしさがある方が好まれるというのは、古今東西普遍的なことなのか。2015/10/30
でこれ
1
清の幼少期から壮年期まで。素朴な狩猟民だった女真人が中原の文化に触れ、中国ナイズされるのは少々物悲しい。眠れる獅子の末路を匂わせるがなんとも良かった。2013/10/07
わらのいぬ
0
清の勃興から全盛期にかけての政治、学問、文化、経済を語る、教科書みたいな本なのに何故こんなに面白いのか。2013/01/15